怖がりでも男前/htrn ページ7
「ねぇ、やめよ？ホラー映画見るのやめよ？」
貴「大丈夫！怖くないって！」
「絶対怖いでしょ！」
今私はひとらんともめている、といっても理由はしょうもないことなのだけれども。
私に必死の思いですがりつくひとらんを横目にテレビのリモコンを押すと大きなBGMが鳴り、メニュー画面が出てくる。
「待って！まだ間に合うから！やめよ！」
先程から同じことを言ってるひとらん。怖さのあまり、語彙力もなくなったらしい。
私は無言のまま再生ボタンを押す。
「うぅ………………あぁぁぁぁ！」
貴「待って、まだタイトル画面が出たばっかりなんだけど。」
ものの数分で悲鳴をあげている彼に戸惑う。トントンや大先生からきいてはいたが、ここまでとは思いもしなかった。
おもむろに私の方へ手を伸ばすとそのまま腕を引っ張り、抱え込む。
ひとらんの足の間に座らされ後ろからギュッとされた。
貴「あのー……ひとらん？恥ずかしいから止めてくれない？」
「こわいの！こわいの！」
いや、二回も言わなくても。溜め息をひとつついてテレビに目をやる。丁度ゾンビのようなものが出てくる。
「…………っ！」
声にならない悲鳴をあげ、体がビクゥッとなってるひとらんに思わず一言。
貴「可愛いなぁ」
私より乙女らしい行動に本音がこぼれた。あ、と思った頃には私の視界は反転し、私はいつの間にかひとらんと目を合わせていた。
「可愛いっていわないでよ。」
不服そうな顔をして、私を見つめている。けれど、可愛いから仕方がないと思うのだけれど。
貴「だって、ひとらん可愛いから……んっ。」
それは無理と言おうとしたら、ひとらんは私にぎこちなくキスをする。
それはいつもよりも長くて。
「…………はっ。」
貴「……はぁっ、はぁ……。」
唇を離すと肩で息をしている私を見て、ひとらんは満足げに微笑んだ。
「俺、可愛いの？」
私の頬に手を滑らせ、優しく撫でる。熱のこもった瞳にじっと見つめられる。
触れられた頬から熱が身体中に伝わっていく。
貴「……か、格好良いです。」
私はそれからひとらんに可愛いと言うことは控えるようになった。
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作者名：大佐 | 作者ホームページ：
作成日時：2017年2月5日 15時
