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「っ……ふ…」


急激な寒気に、うっすらと目を開けた。
暫くぼんやりとしていたが、暫くして目が醒めガバッと起き上がる。何がどうなったんだと叫ぼうとして、

「ふっ… ふあっくしゅッ!」

…ここは何処だ…?」



俺の目の前に広がっていたのは、直径10m程はありそうな、でも何も無い無機質な部屋だった。
床も壁も天井も、全てオフホワイトの人工的なものだ。アルヴヘイムの神秘的な風景とは、似ても似つかない。
急激な寒気がしたのは、床が物凄く冷たかったかららしい。

取り敢えず状況確認をしようと立ち上がる。
何か無いかと、真っ白な空間を探り始めた。



――確か俺は、宿で気持ちよく寝てたところをアナウンスで起こされて…いや、アナウンスで起きた訳じゃないと思うが。
それで… どうしたんだっけ…?

その後の記憶が無い。



「…あ、あった」


長方形の扉。これまた無機質なデザインで、ノブの類いは付いてなく扉だとわかる術は壁との境界線のみ。
ロックされていない事を願ってタッチすれば、それは静かにスライドして開いた。

即座に体を滑らせ、周囲を確認しながら細長い廊下を進んでいく。
暫く進んだ時、奇妙な生物を見つけた。


――きめぇ。
一言で言うなら、まさにそれはナメクジそのものだった。
灰色のヌメヌメした体に、黒い斑点。足なのか腕なのか触手なのかわからないものを動かしている。
1mはありそうなそのナメクジは、驚いた事に喋っていた。所謂独り言。



「あれー?おっかしいなー、実験体のブリップが消えてる…。何処に行った?記憶を消したから、自分から行動するような意志は無い筈なんだけど…」


何かのモニターを覗き込んで呟いたナメクジの独り言に、俺は稲妻のような戦慄を抱いた。
“記憶を消した”だと?

それはつまり…!



思考回路の加速を感じた。
俺は気付けば、いつ抜いたのかもわからない剣をナメクジに突き付けていた。



「うわあ!何、オマエ…って、実験体!」

「教えろ。俺に何をした?実験体ってどういう事だ」

「ひええ…な、何で…」

「いいから答えろ!斬るぞ!」



近付いている。ただ、そう感じた。
近い。俺がずっと探してきた記憶の答えが、あと少しで掴める…。
思わぬチャンスに、知らず口許に弧を描いた時――



突如、俺の首に何かが絡み付いた。

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ワタリ鳥(プロフ) - ワタリ鳥です。パスワードを忘れてしまってリンクを繋げられないのですが、続きを書いています。長らくお待たせしました。part5をお調べください (2017年12月31日 12時) (レス) id: ca885edea0 (このIDを非表示/違反報告)
天宮 - 続きをみたいです (2016年1月14日 15時) (レス) id: c71c84de2f (このIDを非表示/違反報告)
- もっと続きが見たいです 楽しみにしています (2015年9月12日 8時) (レス) id: 8a2d066a77 (このIDを非表示/違反報告)
- はじめまして!結構前から見てました!今頃ですが続きが気になるので書いて下さいぃ!お願いいたしますっ! (2014年4月5日 0時) (レス) id: cd7abd2c64 (このIDを非表示/違反報告)
ツバサ - この作品大好きです!更新頑張ってください! (2014年3月1日 10時) (レス) id: da0a1c03c1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ワタリ鳥 | 作成日時:2013年3月8日 17時

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