n.56 ページ7
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「Aちゃん！ご馳走様でした！」
「はーい、また来てね。」
楽しい時間はあっという間に過ぎ、帰る時間に。
「うみ、お見送りしてくる？」
「してして〜！うみ〜！！」
「ばかにしてんだろ！しかも自分たちで帰れるだろ！！」
いつまでも番犬してるからまた笑ってしまう。
なんだかんだ楽しそうで、良かったなぁなんて。
「Aちゃんもお見送りしてよ！」
そうやって元太くんの声。
「いいよ。じゃあうみがお留守番？」
「なんでよ！行くよ！」
みんなに行かないんじゃないのかよ〜って茶化されながら家を出る。
寒いな、もうすぐ12月だもんな。
「美味しかったね〜ご飯、また作ってねAちゃん！」
みんな口々に感想を言って、駅まで10分。
「ご馳走様でした！Aさん。」
「いえいえ、楽しかったよ！
またいつでも来てね。」
頑張っての一言さえ言えないけれど。
元太くんと目が合ったから、口パクでガンバレ。
そう伝えると元太くんがちょっと切ない顔してから頷くから、寂しくなってしまった。
「じゃあ、海人はまた明日ね〜！」
そうやって改札をくぐり抜けて行く。
その姿をじっと見つめる。
「Aちゃん、いつまで見てるの、帰ろうよ？」
しびれを切らしたうみが笑って手を差し出した。
帰る場所もう私の家じゃなくなっちゃうんだよ、うみの手だってもう日常じゃなくなるのに。
「...うみ。」
それでも名前を呼ぶことしか出来ないこの関係にもどかしくなる。
「Aちゃん。ほら、帰るよ。」
その一言に涙がこぼれ落ちた。
あーあ、バカみたい。どんなにご馳走作ったってみんなが楽しくしてくれたってここで私が泣いたら何の意味もないのに。
「Aちゃん。」
困った顔して目の前にうみがいて、そっと頬の涙を拭う。
「風邪ひいちゃうよ、明日もお仕事でしょ。」
そうやって手を繋がれる。
もう少し、もう少しだけの時間。
そのまま静かに歩き出した。さっきまでワイワイ歩いてたのに嘘みたいに静かな同じ道。
「...Aちゃんの夢は何？」
家まであと5分、うみが言葉を重ねる。
私の、夢。
私の夢は、
「...大切な人が大切な人たちと輝けますように。」
願わくば、もう一度君に会いたい、なんて。
穏やかなうみの顔が一瞬泣きそうな顔になったのが見えた。
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ako - 早く続き読みたいです！更新待ってます！！！ (2021年1月11日 23時) (
レス) id: 7b3641e4d9 (このIDを非表示/違反報告)
rina(プロフ) - とても面白くて一気に読んでしまいました！頑張ってください、応援してます！！ (2020年10月4日 12時) (レス) id: 62ae429c69 (このIDを非表示/違反報告)
さき - とてもとても惹きこまれました。ステキなお話をありがとうございます。また続きを読める日を楽しみにしています。 (2020年8月7日 20時) (レス) id: 59a932d40f (このIDを非表示/違反報告)
遥(プロフ) - とても面白くて感動しました！！続きが気になりますが、主様のペースで更新お待ちしてます。 (2020年6月29日 19時) (レス) id: 7f45d34135 (このIDを非表示/違反報告)
でん - めちゃくちゃ面白いです。感動しました。応援しています。頑張ってください！！ (2020年6月11日 0時) (レス) id: fd92cca3ea (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みこ | 作成日時：2019年8月24日 13時
