卅 ページ31
刀がぶつかり合う音と、激しい怒号が静寂を切り裂く。
灯りの消えた家々は静かで、私達が人々には認識されていないのだということを実感させられる。
これも、歴史に干渉しないためなのだと理解したものの、今私達は地を踏み、息をしている。
不思議だった。
今ここにあって、ここにない。
「でも、今までと同じ……」
「……今までと言いますと？」
こんのすけ殿が、突然私に問い掛けた。
「え？ 私、何か言いましたか？」
「……いえ、なんでもありません。疲れているせいか、幻聴がしたようです」
ハアァ、と盛大に溜め息をついた彼は、そっと戦闘の様子を窺う。
そしてすぐに戻ってくると、嬉しそうに目を細めた。
「どうやら、夜目が効かないのは検非違使も同じようですね」
もうすぐに決着がつきますよ、とこんのすけ殿が外を振り返ると、ちょうどバキリという木が折れるような音がした。
そして、勝鬨の声。
「A、終わったから出てきていいぞ」
その低い声に、家屋の影から飛び出して彼等の元へと駆ける。
どうやら、特に大きな怪我をしている方はいないようだ。
「厚樫山の検非違使よりも上手く立ち回れたような気がします」
「あの人、夜戦だと検非違使がかなり弱くなるって言ってたしね……」
「これで厚樫山と同じ強さだったら俺、今頃折れてたんじゃないか？」
「縁起でもないこと言うなよ、御手杵の旦那」
「とりあえず、帰りましょうか」
和気藹々とした雰囲気。
とても、戦いの後とは思えない。
「帰ると言っても、何処に行くのかはわかりませんけどね……」
「こんのすけ、行き先調整とかできないのか？」
「エラーゲートからここに来たので、出口もまたエラーゲートです。なので、それは無理ですよ、御手杵殿」
「次もまた戦場、ということはあり得るのですか？」
「いえ、それはないでしょう。ここから帰還したことのある部隊の本丸のいずれかに繋がるはずです」
「それならいいや」
「……早く行こうよ」
「そうですな」
そして、ぐにゃりと歪んだ光の中に踏み出した。
「……眩しい」
目の前が、真っ白に塗り潰されていくのが、目に痛くて、同時に怖かった。
何故かは分からない。けれど、その怖さが、どこか懐かしいような感じがした。
そして、細めていた目を閉じる。
赤く切り替わる視界。
＿＿あぁ、この赤は、何処かで。
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セネン@備中のチキン(プロフ) - 傾国萌えのセネンさん» 辛辣な宗三さんが書けないのでちょっとキャラ崩壊気味になっているかもしれません……。わざわざ申し訳ございません。これからも頑張ります。 (2016年3月16日 23時) (
レス) id: fbd19b621e (このIDを非表示/違反報告)
傾国萌えのセネン - セネン@備中のチキンさん» 宗三さんの出番があってうれしいです、ありがとうございます。 (2016年3月16日 22時) (レス) id: 0ef8c99b92 (このIDを非表示/違反報告)
セネン - セネン@備中のチキンさん» なるほど、教えて頂きありがとうございます。では、紛らわしくないようにこれからは「傾国萌えのセネン」とでも名乗りましょうかね(笑) (2016年3月16日 22時) (レス) id: 0ef8c99b92 (このIDを非表示/違反報告)
セネン@備中のチキン(プロフ) - セネンさん» たしかに同じような名前ですね…。調べてみましたところ、ドッグカフェの名前のようです。遷延(せんえん、のびのびになること)から、更新がのびのびになるのでsennenn→senen→セネンといたしました。 (2016年3月16日 17時) (レス) id: fbd19b621e (このIDを非表示/違反報告)
セネン - 僕と似たような名前の人がいて驚きました、セネンという名前のものって既に何かあるのでしょうか?僕はゲームをやってて偶然思いついたのですがセネン@30分クッキングin備中国さんのネーミングの由来は何ですか?よろしければ教えて頂けるとありがたいです。 (2016年3月16日 17時) (レス) id: 0ef8c99b92 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：セネン@30分クッキングin備中国 | 作者ホームページ：
作成日時：2016年1月18日 21時
