No.44 ページ13
いつの間にか意識を失っていた僕。ゆっくりと身体を起こせば、タオル生地の様な物を身体に身にまとっていた。
それと、すぐ隣から聞こえるシャワー音
『…………』
もしアイツが今、部屋に居ないのならここで逃げるしか僕の助かる道は無いってそう立ち上がった瞬間
後ろから、声がした。
聖「どこ行く気だ」
『………お風呂に行ってたんじゃ、無かったの』
聖「本っ当、見えねぇんだなお前」
シャワーの音だけ出してずっと、僕が起きて逃げるのを分かって待ってたんだ、この人。
『………ここ、どこ』
聖「ホテル」
『っなんで……』
聖「毒親だよな、お前んとこ。あのババアが言ってたぜ？子供でも作って斑鳩から手を引けない状態にしてくれてもいいって」
『…………最低、あんなのは僕の親じゃない！！もういい……返して、服も携帯も鞄も返しっ、ん！！！』
ベッドに沈む僕と斑鳩の御曹司、両手首を捕まれ口は手の平で塞がれて声が出せなくなった。
聖「無様だな、お前」
『っん〜〜〜〜！！！！！！ん！！ん〜〜！』
聖「黙れ！！！！！！！」
『っ、』
叩かれた頬が痛む
聖「…………お前、泣いてんのか。はは、それだよ、その顔がずっとずっとずっと、見たかったんだよ俺様は」
斑鳩の笑う声や息がどんどん近くに感じて、気づいた時にはもう僕の首元に顔を埋めていた。
『…………っ、嫌！！！！！！！！！』
僕の身体に跨る斑鳩を勢いよく突き飛ばし、部屋から走って逃げ出した。
人の声がしない、あの斑鳩財閥の御曹司がやる事だ。もしかするとこのホテルごと買い取ったのかもしれない。
そうとなれば僕にはもう、ここに行き場なんて無い。
『〜〜〜っ、そうじろ……ぅっ』
来るはずないのに、そう名前を呼んで、
居るははずないのに、そう名前を呼んだ。
?「こんな所で泣いてたら風邪引くよ、お嬢さん」
床に座り込む僕の顔を覗き込んできたのは、いつだって助けに来てくれる、僕のヒーロー。
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作者名：もりのくまさん | 作成日時：2022年1月6日 9時
