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Aside
カラオケが終わり、私達はまた街に出た。
まふまふさんは少しよりたい場所がある、とのことで席を外したが、すぐに戻ってきた。
今は、まふまふさんに連れられて“ある場所”に向かっているらしいけれど、どこなのかはわからない。
まふまふさん曰く“私が見たいもの”が見える場所に行くのだとか。
「あ、もうすぐ着くよ」
目に入ってきたのは大きなドーム状の建物。
この中に、なにがあるんだろう…?
「大人一人、学生一人お願いします」
まふまふさんがチケットを二枚カウンターから貰う。
そして二人でドームの中に入ったが、そこは真っ暗で。
「ここらへんの椅子に座ろっか」
椅子に座っても、なにかが起きる様子はない。
ここはなんなんだろう。ステージもないし、あるものと言ったら、ただただ大きな天井……。
「もうすぐ、始まるよ。天井を見て」
まふまふさんに言われ、天井を見る。
すると、わずかに残っていたライトがすべて消え、次の瞬間___。
「わぁ……!」
天井に広がっていたのは、一面の星。
東京では絶対に見れない、様々な星がきらきらと輝いている。
「“水彩銀河のクロニクル”を歌ったとき、Aさん、満天の星空に憧れているって言ってたでしょ? だから、来ちゃった」
そう、ここはプラネタリウム。
どんなに晴れていても、東京では見ることができない全ての星を、ここは映し出してくれる。
一つ一つの星についての説明がアナウンスで流れるが、私はそんなものは聴かずに星に見入っていた。
*
プラネタリウムで星を見終わった後、私達は近くの公園に来ていた。
街の中にいると、どうしてもまふまふさんは目立ってしまう。
リスナーさんにもし見つかったら、炎上案件だ。
そのため、雑談をするなら人気のない場所にしよう、と来たのがこの公園だった。
「そういえば、さっき本屋さんに寄っていましたよね。どうしたんですか?」
プラネタリウムに行く前、まふまふさんが寄ったのが本屋だ。
なにかを抱えて出てきていたから、本でも買ったのだろうか。
「あのねー…」
まふまふさんが鞄から本を取り出す。
まるで、辞書のような分厚い本を。
「これ!」
「……“誕生日大全”……?」
「プラネタリウムに行こうって決めたとき、お互いの星座で占いとかできないかなって」
結局、誕生日占いになっちゃったけどね、とまふまふさんは笑った。
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千々(プロフ) - ちょこさん» ありがとうございます! (2022年12月5日 9時) (レス) id: 1d9d509371 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこ - とてもよかったです! (2022年11月4日 20時) (レス) @page22 id: 5ad0b4ef6a (このIDを非表示/違反報告)
千々(プロフ) - 藍猫さん» おお!おめでとうございます!!(一年ほったらかしにしてて本当にごめんなさい……) (2022年9月4日 11時) (レス) id: 84f8a35d43 (このIDを非表示/違反報告)
藍猫 - スウッッーーーーー…そういえば10月18日って私の次の日じゃないですか…えまって嬉しい( 〃▽〃) (2021年7月17日 2時) (レス) id: 0f30a0c194 (このIDを非表示/違反報告)
千々(プロフ) - 翡翠琥珀さん» 飢えているから書けたんですw そう言っていただけるなんて嬉しいです……! 自信につながります1 (2020年6月18日 21時) (レス) id: a6aff5c4e4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:千々 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/tidierika2/
作成日時:2020年4月30日 15時