story9 ページ10
“ゴミ捨て場”。
この単語にどんな意味があるのかは知らない。
ただ、忌避されるべき場所なのだろう、そこは。
そしてそこに、Aさんは関わっていた。
ここまでは、いい。
特に不審に思う点はないし、辻褄だって合う。
だが、そのさきだ。
―――Aさんは双子だった？
双子、強引に考えれば辻褄が合わないこともない。
けれど、どうしてもその仮説を崩してしまう、一つの証拠があった。
Aさんの家に行ったとき、俺は常に様子を探っていた。
まふの恐れる理由を突き止め、あわよくば解決したかったからだ。
そして見つけた、一つの写真。
リビングに丁寧に飾られ、その近くには埃一つ落ちていなかった。相当、大事にしているのだろう。
そして写っていたのは、家族写真なのか、二人の成人した男女に、まふまふと思われる少年、そしてAさんと思われる少女。
―――しか、いなかった。
もしも双子ならば、そこには五人写っていないといけない。
まふまふの両親、まふまふ、Aさん、Aさんの双子。
だが、そこには四人しかいなかった。
俺があのおばさんに訊き返したのは、そのためだ。
この情報から、出来る仮説は二つ。
家族写真を撮ったとき、“双子ちゃん”は体調上の理由でいなかった。
だが、この可能性は少ないだろう。体調上の理由でいなかったとしても、家族全員が揃っていない家族写真を、あそこまで大切にするか？
他にも家族写真を撮る機会はあったはずだ。ならば、その写真を飾るのが妥当だろう。
もう一つは、“双子ちゃんなんて存在していなかった”場合。
存在していないのならば、写真に対して辻褄は合う。
だが、それなら“ゴミ捨て場”の近くで遊んでいたAさんとAさんにそっくりな女の子は誰なのだろう。
「あー…。ここまで来て詰みかー…」
謎を解く糸口が見つかったと思ったら、どこか辻褄が合わない。
強引に合わせようと思ったら、合わせられるけど、違和感ばかりが残る。
途方に暮れていたとき、一人の男性が通りかかった。
……質問、してみるか。
もう、後に引くつもりはないのだから。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 377人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「歌い手」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
千々(プロフ) - くまくまちゃんさん» 最初のころの作品で語彙力ドバドバ崩壊なのにそういっていただけるなんて嬉しいです……！ コメントありがとうございました！ (2020年11月1日 14時) (
レス) id: 4401622583 (このIDを非表示/違反報告)
くまくまちゃん(プロフ) - すごいふかいなぁ。神かな？←面白かったです！ (2020年9月19日 9時) (レス) id: 8a3f9ddf1c (このIDを非表示/違反報告)
千々(プロフ) - ひきねこさん» こちらにもコメントありがとうございますっっ！ たくさんのコメントは本当にモチベに繋がるので嬉しいです……！ 神作と思っていただけるのはRONONさんのネタが素晴らしいからですね、上手くネタを生かせたか心配ですけど、そう言っていただけて良かったです！ (2020年8月18日 22時) (レス) id: b78eeb1902 (このIDを非表示/違反報告)
ひきねこ - こんにちは 新しい方のから読みに来ましたよ なんですか！？作者様は神作しか書けないんですか！？コホン…凄く良かったです 他のも読みにいきます (2020年8月18日 19時) (レス) id: b9ac26b4ea (このIDを非表示/違反報告)
千々(プロフ) - #よにん。＠変人系カップル＆シトラ教教組さん» これからも読者さんの期待に応えられるように、誠心誠意頑張らせていただきます……！ ありがとうございました！ (2020年8月5日 15時) (レス) id: b78eeb1902 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：千々 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/tidierika2/
作成日時：2020年5月10日 14時
