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story8 ページ9

そらるside



勢い込んで、まふの実家に向かったのはいいけど……。



「どうすれば情報集まるんだ、これ…」



閑散としている、古びた住宅街。

そんなところで一人途方に暮れている俺は、きっと不審者に見えるのだろう。



「といっても、人っ子一人いないんだよなぁ…」



まふまふの実家は一応知っている。

一度、何気ない会話のついでに聴いた記憶があった。


このまま、まふまふの家に突っ込んで情報を集めるのが一番早いのかもしれないが、急に来た男が家族の事情を嗅ぎまわっているだなんて、不審者もいいところだろう。

かといって、適切な情報の集め方なんてものはわからないのだが。



「あんた、余所者かい?」



突然声をかけられて戸惑う。

そこには、恰幅の良いおばさんがいた。



「えーっと、確かにそうですね。俺は、ここに住んでいるわけではありませんから」



余所者です、と答えるのも変な気がしたので、少し濁す。

すると、おばさんは、急に笑い出した。



「いやぁ、ごめんね! ここらに他所から人が来るだなんて、珍しいからさ! 見ての通りなんもない場所でねぇ」



良かった、悪い人ではないらしい。

この人なら、俺の質問にも快く答えてくれるだろうか。



「すみません。俺はここの人に質問があってきたんですけど、全く人がいなくって。……あの、相川Aさんを知っていますか? 昔、ここらへんに住んでいたはずなんです」



そう訊くとおばさんは、ああ、と何かを思い出したように言った。



「相川さんのとこの娘さんかい。よく見かけていたからねぇ。あの子だろう。ほら、双子の」

「双子?」



思いもよらない話にびっくりする。

双子だなんて話は、全く想定に入れていなかった。

なぜなら―――。



「本当に双子なんですか? 俺はAさんの知り合いなんですけど、そんな話は全く聞かなかったもので」

「双子か、って改めて訊かれるとねぇ…。あたしは、相川さんとこの娘さんにそっくりな女の子二人が、“ゴミ捨て場”の近くで遊んでいたのを見ていただけだし…」

「ゴミ捨て場!?」



ようやく出てきた、このキーワード。

俺がAさんから得られた唯一の情報。

けれど、俺が“ゴミ捨て場”に反応するのを見るや否や、おばさんの態度が変わった。



「……“ゴミ捨て場”は、人間の関わるところじゃないよ」



酷く嫌悪感のにじみ出る表情。

その言葉の意味を訊き返す前に、おばさんはその場からいなくなった。

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千々(プロフ) - くまくまちゃんさん» 最初のころの作品で語彙力ドバドバ崩壊なのにそういっていただけるなんて嬉しいです……! コメントありがとうございました! (2020年11月1日 14時) (レス) id: 4401622583 (このIDを非表示/違反報告)
くまくまちゃん(プロフ) - すごいふかいなぁ。神かな?←面白かったです! (2020年9月19日 9時) (レス) id: 8a3f9ddf1c (このIDを非表示/違反報告)
千々(プロフ) - ひきねこさん» こちらにもコメントありがとうございますっっ! たくさんのコメントは本当にモチベに繋がるので嬉しいです……! 神作と思っていただけるのはRONONさんのネタが素晴らしいからですね、上手くネタを生かせたか心配ですけど、そう言っていただけて良かったです! (2020年8月18日 22時) (レス) id: b78eeb1902 (このIDを非表示/違反報告)
ひきねこ - こんにちは 新しい方のから読みに来ましたよ なんですか!?作者様は神作しか書けないんですか!?コホン…凄く良かったです 他のも読みにいきます (2020年8月18日 19時) (レス) id: b9ac26b4ea (このIDを非表示/違反報告)
千々(プロフ) - #よにん。@変人系カップル&シトラ教教組さん» これからも読者さんの期待に応えられるように、誠心誠意頑張らせていただきます……! ありがとうございました! (2020年8月5日 15時) (レス) id: b78eeb1902 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:千々 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/tidierika2/  
作成日時:2020年5月10日 14時

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