俺たちの都合で構わない ページ4
「都合が良いなんて、それは俺も同じだ。
ていうか、都合が良くて何が悪い？別に良いだろ。
俺たちの都合で構わないさ。
俺は君の愛を待ってるし、君は俺に愛をあげたい。
俺たちにしか都合の良くないラブストーリーでも作らないか？」
窓からの光で見えなかったフレッドの表情が明確になる。
そばかすだらけのその頬は少し赤らんでいて、
ブラウンの瞳は優しげに細めている。
しかしその口元はイタズラっ子のようにニヤリとしていて、
赤毛はかき上げられた時の形のまま、少し不格好になっていた。
大好きな人からの素敵な提案を、断る理由なんてどこを探したってきっと見つからない。
愛しの男の子に恥をかかせるなんて、乙女が廃るというものだ。
「ふふ...言ったわね、フレッド...わかった、口説き落としてあげる。私にとって都合の良い御伽噺についてこられるかしら？」
「おっと...もう忘れたか？
"俺にとっても"都合の良い御伽噺のはずだぜ？」
Aはフレッドの頬に手を当ててブラウンの瞳を覗き込む。
その行動に少し驚いたように、フレッドの瞳が見開かれた。
「大好きよフレッド_____溜まりに溜まったラブソング、しっかり聞いてもらうわね！」
あ、やべ...という顔をしたが時既に遅し。Aは、
なんで持ち歩いんてんだよ！と言いたくなるような量の
ラブソングをしたためてあるだろう羊皮紙の束をローブから出してきた。
今まさにここで歌いそうになった時
「おいおいここは図書館だぜお熱いお二人さん
___おっと、お邪魔だったかな？」
ジョージが本棚から顔を出した。
フレッドはその言葉に、いまだ両手でAを囲んでいたままだと気づき、慌てて両手を離す。
ほとんど密着していた体との距離が離れ、Aは残念そうにした。
「そうだジョージ！あなたも聞いていってちょうだいな！フレッドへのラブソング！」
「そんな面白いことやろうとしてたのか！？
そりゃあ聞かない選択肢はないな...よし待ってろ、
中庭に呼べるだけの生徒を呼んでおくぜ」
「ばっ...待て！！ジョージ！！！！」
フレッドが大声を出した瞬間、司書が何事ですかと飛んでくる。慌てたフレッドは、見つかるまいとジョージの後を素早く追いかけた。
すぐにAもその後についていく。
窓から差し込む光が、Aの背中を押した。
都合の良い御伽噺が、いつかめでたしめでたしで終われるように。
ソロだったラブソングは少しずつデュエットに近づいていった。
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とくめい(プロフ) - 見つけて一気に読んじゃいました...好きです...！更新待ってます！！ (12月1日 15時) (
レス) @page32 id: e5f130972d (このIDを非表示/違反報告)
瑚春(プロフ) - うわーん横取られたいです… (10月10日 19時) (レス) @page32 id: a458b63a33 (このIDを非表示/違反報告)
moon - めっっちゃ面白いです！最高です！更新待ってます！ (10月7日 8時) (レス) id: c2609fd96d (このIDを非表示/違反報告)
ちぢぶ(プロフ) - ☆宙☆さん» わ〜ありがとうございます〜！そう言っていただけて嬉しいです...！更新頑張りますね〜！ (2023年3月9日 20時) (レス) id: a1d11d1f69 (このIDを非表示/違反報告)
☆宙☆(プロフ) - はじめまして！コメント失礼します！毎日楽しみに更新を待つほど大好きなお話です！これからも頑張ってください！応援してます！(^^) (2023年3月9日 20時) (レス) id: 00d954112a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ちぢぶ | 作成日時：2023年3月5日 11時
