それはきっと祝福 ページ14
フレッドは走った。ぶつかれば相手が吹き飛ばされるんじゃないか、爆発するんじゃないかというくらいの勢いで。
フレッドはブレーキの壊れた車のように、勢いの消えないまま談話室前に辿り着く。もはやそれは追突したと言っていいくらいだった。
「...ッあ〜！！クソッ_____！」
フレッドはスリザリンの談話室に入る合言葉なんて知らない。
早くAと話をしたい焦りでフレッドは地団駄を踏む。
グリフィンドールの赤いロープは、その空間の中浮いていた。
ちょうどその時、談話室に入ろうとスリザリンの寮生がやってきた。グリフィンドール生が何の用だよとでも言いたげにフレッドの頭の先からつま先までジロジロと睨みつける。
今のフレッドはそんなこと気にしていられない。
談話室に入ろうとしたスリザリン生を呼び止め、
「なぁ、アイツ______お宅の寮の...A・ノッテボーム___呼んでくれないか？」
乱れた息を整えながら、フレッドはなるべく優しい口調で言った。生徒は、引き留められた最初こそ嫌な顔をしたものの、このまま放っておく方が面倒だと思ったのか、そこで待ってろと言って呼びに行ってくれる素振りを見せた。
「おい、グリフィンドールの奴は他寮の合言葉を聞かないようにするという気遣いもできないのか？」
「___あ、ごめん」
耳に手を当て少し離れる。すると合言葉を言った後、生徒は談話室へと入っていった。いちいち言い方が腹立つな、と思ったがここで喧嘩しても無駄なので黙っておく。
しばらく待っていると、先程の生徒とは別の____ダーティブロンドに緑の瞳の女子生徒が出てきた。
フレッドはその女子生徒の周りや後ろを覗いてみるが、どこにもAは見当たらない。
「あ、あのさ...俺、ノッテボームを呼んだんだけど」
女子生徒は品定めするような瞳でフレッドを一瞥した後、
「アナタ...呪いにかけられて可哀想」
そう一言だけ言った後、有無を言わさずまるでこれ以上近づくなというようにバタンと音を立てて談話室を閉めた。
フレッドの気分は最悪だった。
そして同時に、他人からアイツの愛を"呪い"だと言われるとこんなに気分が悪いのか、俺は本当に最低な事をしたんだと思い知った。
呪いなんかじゃない。それは自分が一番分かっていたし、これを呪いだとするのはアイツの心を、家を、傷つけるだろう事は、あの図書館での一件から知っていたはずだった。
「あぁほんと____可哀想な頭だよ」
それはきっと、祝福なのに。
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とくめい(プロフ) - 見つけて一気に読んじゃいました...好きです...！更新待ってます！！ (12月1日 15時) (
レス) @page32 id: e5f130972d (このIDを非表示/違反報告)
瑚春(プロフ) - うわーん横取られたいです… (10月10日 19時) (レス) @page32 id: a458b63a33 (このIDを非表示/違反報告)
moon - めっっちゃ面白いです！最高です！更新待ってます！ (10月7日 8時) (レス) id: c2609fd96d (このIDを非表示/違反報告)
ちぢぶ(プロフ) - ☆宙☆さん» わ〜ありがとうございます〜！そう言っていただけて嬉しいです...！更新頑張りますね〜！ (2023年3月9日 20時) (レス) id: a1d11d1f69 (このIDを非表示/違反報告)
☆宙☆(プロフ) - はじめまして！コメント失礼します！毎日楽しみに更新を待つほど大好きなお話です！これからも頑張ってください！応援してます！(^^) (2023年3月9日 20時) (レス) id: 00d954112a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ちぢぶ | 作成日時：2023年3月5日 11時
