Front of the safe 2 ページ11
「いいコだから、みんなじっとしてて」
こんな状況なのに、ニュートの声はとても優しい響きをしていて、Aは思わず聞き入ってしまう。彼は魔法生物に話し掛ける時、いつもとても優しく慈しむ様な声を出す。その声がAは好きだった。人間に対してはそう聞くことが出来ない声を、一緒にいる時はこっそり聞くことが出来る。その時間がAの細やかな幸せになっていることを、ニュートは知らない。
「こら、ドゥーガル。ダメだってば。お仕置きされたいか？」
ニュートは胸元のポケットから顔を出すボウトラックルのピケットを気に掛けながら、トランクの中の魔法生物を窘める。ドゥーガルはニューヨークに着く前から、何度も中から出ようとしていた。Aはニュートの後ろからトランクを覗き込むが、素早く閉めてしまった為、特に何も見えずに終わる。
残念、と顔を上げたAの目に映り込んできたのは、金庫の隙間に挟まる黒いお尻だった。
「あ、」
「そうはさせないぞ。“Alohomora”」
「え…」
ニュートもニフラーに気付いたのか、トランクを持って立ち上がると、迷わず杖を構え、解錠の呪文を唱えた。ニフラーを捕まえる為とはいえ、金庫を躊躇なく開けるのはどうなのか。これは見付かったら完全に金庫破りではないか。後ろにいた男性も、開き始めた金庫を見て、唖然としている。
「……開けたらすぐに捕まえてよね」
やってしまったものは仕方ない。短時間なら見付からずに済ませられるだろう、多分。
そう信じようとしたAだったが、その願いは一瞬で崩れた。
「お前達、金庫の金を盗もうっていうのか？」
銀行員が階段を降りてきてしまったのだ。Aは杖を取り出そうとするが、彼は迷わず警報機のボタンを押した。けたたましい音が鳴り響く。
「“Petrificus Totalus”」
ニュートの迷いのない一発が銀行員に当たった。
よりにもよって“全身金縛り術”を選ぶなんて。こんなことなら先程のタイミングでしっかり杖を握っておくべきだった。
「ビングリーさん？」
「…知り合いですか？」
身体が固まり、動けなくなった状態で倒れた銀行員を、どうやら男性は知っていた様で、Aはどうするか考える。暫くすれば術は解けるが、知り合いならば後日、無実の男性――コワルスキーが、通報される可能性が高い。更なる面倒を起こす訳にもいかないだろう。Aは銀行員へ近付き、杖を構える。
「“Obliviate”」
綺麗な音が紡がれた。
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tibiyukip(プロフ) - 花音さん» はじめまして。コメントありがとうございます。プライベート多忙で全然書けてなくて申し訳ございません。コメント頂けて頑張る気持ちが出てきました！ゆっくりになってしまうと思いますが、待っていて下さると幸いです。 (2020年12月12日 23時) (
レス) id: ba1fb87ea6 (このIDを非表示/違反報告)
花音 - 初めまして♪凄く面白かったです( ≧∀≦)ノ続きがとても気になります( ;｀Д´)これからも応援してます(^○^) (2020年12月1日 12時) (レス) id: c9954f1e86 (このIDを非表示/違反報告)
tibiyukip(プロフ) - ハーレクインさん» コメントありがとうございます！原作壊さない様に注意していたので、そう言って頂けると嬉しいです。読んで下さる方がいると分かるとやる気が出るので、ゆっくりになってしまいますが頑張って書くので、待っていて下さると幸いです。 (2019年1月27日 18時) (レス) id: e2ffef0477 (このIDを非表示/違反報告)
ハーレクイン(プロフ) - 世界観が原作に忠実で素敵です！更新無理はしないで下さいね！でも待ってます！頑張って下さいね。 (2019年1月27日 17時) (レス) id: 6e522d86ed (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：tibiyukip | 作成日時：2018年12月22日 16時
