太宰さんの彼女 3【文スト】 (ページ8)

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百七噺ページ8

森｢おや太宰君にAちゃん。君達のほうから来るとは珍しいなあ。

紅茶を用意させよう。

北欧産のものすごく高価な葉が届いてねえ。饅頭にかけて食べるとこれが絶品で──｣

太宰｢首領｣

治が遮って云った

太宰｢私達が何の為にここに来たか、ご存知なのでは？｣

その問いかけに首領は答えなかった

ただ薄い笑みを張り付かせ、私と治を見ただけだった

森｢勿論だよ。太宰君。緊急の用件だね？｣

やや間をおいてから首領は答えた

太宰｢そうです｣

森｢いいよ。

その用件が何であれ、認可しよう。

俊英たる太宰君の考えだ。間違っていよう筈がない。

君達は何時だって私とポートマフィアに絶大な貢献をしてきた。

今日もそうであることを願うよ｣

にこりと笑いながら云った

治は虚を衝かれたように黙った

幾ら治と云えど、首領との会話は薄い刃の上を歩くようなもの、少しでも道を間違えれば手足が落ちる

太宰｢では織田作を救援するため、幹部級異能者の小隊を編成し、ミミック本部へ強襲をかける許可を頂けますね｣

森｢いい切り込みだ。

時として自分の本音を先に開示することは、最大の交渉力となり得る。

いいよ、許可しよう。だが理由を教えて貰えるかな？｣

首領の細められた瞳には、相手の内奥まで透かしてみるような怜悧な色があった

かつて治があらゆる敵、あらゆる同僚に投げかけた視線と同種の光だった