13番街もう一人の実況者2 (ページ22)

今日:6 hit、昨日:3 hit、合計:108,924 hit

GAME62 ページ22

冗談なのか本気なのか分からないような言い換えに慌てて否定する忍霧くん

ｻﾞｸﾛ「お前が探索で得た情報を全て教えてほしい...俺もお前に全て伝える...！」

まるで告白紛いな言葉で必死に懇願する彼にカイコクさんはこう応えた

ｶｲｺｸ「嫌でえ」

貴「！」

ニコリという笑みと共に放たれたのは否定の言葉
それを受け忍霧くんはとても面白い表情で固まっている

ｻﾞｸﾛ「なっ...なぜだ!?」

ｶｲｺｸ「んなもん、一人でやった方が気楽だからでェ」

...確かに＿私もカイコクさんの考えには同意だ
一人の方が周りを気にせず動けるし、何より傷つけずに済む

ｶｲｺｸ「俺ァ自分で決めて自分で動く。顎でこき使われるのはもうご免なんでェ」

少しだけ憎悪を感じるそれは、きっと彼の私生活からくるものだろうと予想できる
触れてはいけない人の闇

そんな心を現すように天気だった空が一変して薄暗い雲に覆われていた

ｶﾗﾝ＿

聞き覚えのある下駄の音が少しずつ近くなっている
恐らく外へ出るためにこちらへ向かっているのだろう＿咄嗟にその場から離れタワーに戻ることにした

ﾎﾟﾂｯ

貴「！」

頬に落ちてきた雫、上を向けば途端に降り始めた雨
直ぐに動いたのが幸いであまり濡れずに近くの店の屋根下へ避難する

貴「困ったわね...」

ここからタワーまでは距離がある
濡れて戻るにも今現在露天は閉鎖中

貴「はぁ...」

「どうしたんでェ、ため息なんかついて」

貴「！...カイコクさん」

突然かけられた声に顔をあげれば、先程別れたばかりの彼が傘を指して立っていた

ｶｲｺｸ「戻るんだろ？入っていきな」

貴「...ありがとうございます」

まるで心を見透かされたように問うてきた彼に頷き、お言葉に甘えて中に入る

貴「もしかして、気づいてました？」

ｶｲｺｸ「...なんのことでェ」

そういった彼は笑みを崩さずに前を見つめる

貴「...そうですか」

その様子にクスリと笑みが零れた

ｶｲｺｸ「そういや、昨日はすまなかったな」

貴「！...いえ、私にも非があるので」

恐らく露天でのことだろう
あの後ヒミコちゃんの閃光弾を食らった彼らは一部記憶が飛んだらしくあの時のことはあまり覚えていないとか

ｶｲｺｸ「そうかい...けど、眼福だったねぇ...」

貴「！」

思い出させるような言い草に彼を見やればニヤリとした笑みでこちらを見つめていた
この人は覚えている＿＿それを認識した私はホルスターから釘を一本取りだしにこりと微笑んだ

貴「...忘れてください」

ｶｲｺｸ「！...はい」

勝った＿＿