REBORN † 桃を啄む鶫。次世代に咲く花 -1- (ページ6)

今日:2 hit、昨日:0 hit、合計:21,200 hit

日常[6] -雲雀桃- ページ6

そっと、扉を開けた。

「た、ただいまぁ……」

「お帰り」

…………嘘でしょ。

目の前には、仁王立ちしたお父さんがいた。仁王より厳めしい。

「今、何時か分かってる？」

声が低い。怒られるフラグが立ってる。このままだと確実に咬み殺されてしまう。

「はっ、８時45分くらいですっ」

下を俯いて、私は叫ぶ。やっぱり、目を合わせることは出来そうにない。

「うん。こんな時間まで何してたの？」

「仕事っ。風紀委員の………です…」

「…………………ふぅん…」

お父さんが不服そうに唸る。

私は、下を俯いたまま、鞄を握り締めた。

すると。

「桃っ、帰ったのー？」

トテトテと、金髪を揺らしながら、お母さんがこっちまで来た。今日は、お母さんが天使に見える。

「お母さんっ！」

私は、お母さんに飛び付いた。お母さんは優しい。暖かい。大好き。

「…………A。ご飯にしようか」

「了解なのさー！」

お父さんがさっさと歩いて行ってしまった。

その後ろ姿を、お母さんの腕に隠れるように見つめる。お父さんは厳しい。冷たい。苦手。

「桃。早く着替えてきてねー♪」

「うんっ」

私は、お母さんの胸の中で頷いて、自分の部屋へ向かった。

†

今日のご飯は、サラダの和風うどんだった。

「恭弥、おいしー？」

「おいしいよ」

お父さんが小さく微笑む。お母さんも幸せそうに笑った。

やっぱり、お父さんは私が嫌いなのだろうか。だって、私には見せない顔して笑ってるから。

お父さんが苦手。
だけど、嫌われるのはイヤだった。

「…………桃」

「はいっ！！」

うどんを啄む箸を止めた。

「な、なんですか………？」

「ここ……」

すっ、と。伸びてきた手に、私は大きく体を揺らした。

ビクッ！と反応してしまい、お父さんはその手を止める。

しばらくパチクリしていたけど、手を戻して、自分の口元を指差して、

「…………葱。ついてる」

「あ………あっ！」

恥ずかしっ！私は慌てて、ティッシュを手にした。