REBORN † 桃を啄む鶫。次世代に咲く花 -1- (ページ17)

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別れ道[1] -山本勇- ページ17

なりたいものが沢山ある。

祖父ちゃんみたいに寿司職人にもなりたいし、

父ちゃんみたいに剣士にもなりたい。

プロの野球選手にもなりたい。
サッカーも好きだから、捨てがたいし、バスケも、テニスも好きだ。

なりたいものが多すぎて、俺を悩ます沢山の“別れ道”

仕方がないから、道の真ん中で立ち止まった…。

†

「へいっ！らっしゃい！！」

祖父ちゃんの大きくて、活気のある声。

俺も、腹から声を上げた。

「いらっしゃい！！………て、あれ？雲雀先輩………」

そこには、雲雀先輩がいた。隣には、雲雀先輩のお父さんが。

雲雀先輩のお父さんが、こちらを睨み付ける。
蛇に睨まれた蛙とは、まさにこのこと。
俺は、冷や汗を垂らしながら、固まってしまう。

「…………どうかした？勇(いさみ)くん」

雲雀先輩がキョトンとしながら、俺の前で手を翳す。

「あ………いいえ。大丈夫っす」

慌てて、体制を整えた。

「……………………桃。どうして、ここなんだい？」

お父さんは、どうやら不服なようで、ジロッと俺を見やる。

昔からそうだ。この人は、雲雀先輩に依存してる。
見てて面白いくらい。

すると、雲雀先輩。

「ここのお寿司、とてもとても美味しいんです………それで、」

珍しくお父さんと目を合わして話している。

「……それで、そのっ………お父さんと食べたくて…駄目ですか……？」

ナイス上目使い！

可愛いなぁ…………獄寺先輩たちが惚れてるはずだ。
俺は、そんなことないけど。雲雀先輩は純粋に尊敬対象。

雲雀先輩のお父さんは、目を見開いて、それから愛しげに微笑んだ。

なんか、親子にしておくのがとてつもなく勿体ない。

「………桃が言うのなら、食べるよ」

「あ…嬉しいです。本当に美味しいですよっ。ね、大将さん」

「おうよ。そっちの兄ちゃんも驚くだろうぜ！」

屈託のない笑みを浮かべる祖父ちゃん。
白髪頭にした鉢巻きを絞め直し、

「ほら、勇。いつまでテーブル拭いてるつもりだ？こっち来い」

「おう！」

俺は、ダスターを持って、そちらに駆けた。

俺。山本勇は現在、竹寿司でバイト中。