Witch's stories【大型コラボ】

☆ ページ36

泣くのを一瞬堪え、達哉は顔を上げた。先程までの抜けた顔とは一目瞭然、その整った顔を武器に、凛々しい顔でこちらを見つめる。


「な、なに」
「……教えろ」
「なにを……」


「人間に、なりたいんだろ」


ニコッと笑う達哉の顔を見て、思わず涙が溢れそうになった。まだ、まだ早いって言い聞かせて、ぐっと堪える。

スーツのような正装の内ポケットを漁り、私は一つの小瓶を手渡した。明らかに怪しい色をしたそれに、達哉は眉唾を飲む。


「その液体を、人間に口移ししてもらうの。本当に、私を必要としてくれる人間に」
「これで、Aは人間になれるんだな？」
「ええ、恐らく」


前例は見たことがない、だから分からない。そう伝えたが気にする様子もなく、達哉はそれを口に含み、私の唇と自分の唇を重ねた。

ゆっくりと口を開かれ、達哉の口内で生温くなった液体が流れてくる。意外と甘いんだな、なんて。そんな事を考える余裕があるほど、優しいキスだった。

飲み干したと分かれば達哉は唇を抜き、離れていった。まだほんのり残った甘みが、犬歯の疼きを静めているような気がした。


◇


千夜です。
今週は大型意外にも色々バタバタしてました。やっと一息。

解釈は特にないです。夢主さんが人間になれたのかはご想像にお任せします。一度やってみたかったオチ。
達哉達哉いってましたが、私は今回、清水達哉さんを書かせていただきました。「知名度なんて気にするな」との助言を頂いたので思いっきり参考にしましたありがとう。

前日の浅瀬ちゃんとのまさかのネタ被りによる急遽内容変更、初日のあにゅさんから途切れることなく見事に繋がってきたプレッシャーリレー。いやしんどいですご勘弁！！

今回は月乃ちゃんとの同時進行という、私自身初めての事だったのですが、何とか形になって良かったです一安心です……

ここまで読んで下さった皆様、ありがとうございました。良いハロウィンをお過ごし下さい。
受験生千夜は塾です。ありがとうございました。


Happy Halloween!! 2016.10.31 千夜

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