南瓜のランプは灯らない ページ31
無邪気に笑う彼女は、まるで魔法にかけられた、どこか不安定な存在にも見える。
脆くて、淡くて、清純で＿＿＿綺麗だ。
.
外は仮装した子供やら大人やらで溢れかえっているというのに、僕は相も変わらず、０と1で構成された世界と睨めっこしていた。季節感なんてあったもんじゃない。
付き合っている可愛い彼女とは今日連絡を取ってないし、そもそもこの作業を終えないことには浮かれた話もできやしない。そもそもこの作業をいつ始めたかさえも分かっていないのだ。そもそもハロウィンとは元々収穫を祝う日であって、こんな＿＿＿＿＿
恨みを込めてエンターキーを強く押したとき、何かが崩れるような物音がした。
「まふくん、……まふくん！！！」
鈴なんかに負けないくらい澄んだ声はよく聞きなれているものだった。
「えっ、あれっ、A！？いつの間に来たの、ていうか鍵、あいて、」
「ちょっとどうしたの？まふくん。慌てすぎだよ、まふくんが合鍵くれたんじゃん。」
突然の来訪に頭がついていけず、戸惑う。
A、Aだ、Aが来た！！あふれ出る喜びを包み隠すように僕は平静を装う。
「何か用だった？僕スマホ確認してないんで、気付けなかったかも…」
「うん、いや、完全に何も言わず来ちゃったんだけどね…そらるさんがまふくん最近根詰めすぎだからって心配してたからさ。」
「そういえば、寝てない、かも」
「いやいやいや！駄目だよ！寝なよ！私もう帰るからさ！！」
他愛ない会話だったように思う。
Aが僕のことを心配して言ってくれたんだということも分かる。でも、今その腕が遠ざかるのを許せば、もう彼女は手の届かないところに行ってしまうように感じて、僕は慌ててその腕を掴んだ。…つかめない。
掴んだはずなのに、確かにこの手に閉じ込めたはずなのに、その手はまるで雲をつかんだように、そして骨を握りつぶしたみたいな不思議な感覚だけがぼくを縛った。
彼女は目を丸くして、そして、それからゆっくり目を伏せた。
その姿はまるで幼い少女のようで、酷く歪で、そしてとてもとても、うつくしかった。
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瑠璃?(プロフ) - 更新いつも楽しみにしてます。 とても素敵な作品ばかりで尊敬します……！ 春音さんのお話に出てきた先輩は弟の姉さんでしょうか？ 合ってたらお友達d)) ……これから更新されるお話も楽しみにしてます！ (2016年10月29日 9時) (
レス) id: 72272aaac8 (このIDを非表示/違反報告)
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