春音 ページ26
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「そう言いながらもお菓子出てくるじゃん。しかも手作り」
「今自分でも莫迦だって思ってたから言わないで」
本人に「あんたの喜ぶ顔が見たかったから作ったの(はーと)」なんて言えるような度胸は生憎持ち合わせていない。
っていうかそんなキャラでもないし。
自分がそんなこと言っているのを想像するだけで、吐き気がしそうだ。
「それで？他の子には何もらったの？」
「え？」
「え？」
目の前で渡したばかりのそれを一つ取り、満足そうに口に入れるりぶ。
特別気になった、というわけではないけれど、何となく聞いてみれば、返ってきたのは予想外の反応で。
「もらってないよ？」
Aだから言ったんだよ、だなんてさらりと言われたら、どう返していいのか分からない。
ああ、そう。と素っ気なく返すことしか出来なかった。
ほんの数十秒の沈黙の後、そういえば、と前置きをしながら私の前の椅子を引っ張り出して顔はこちらを向いたまま、横向きに座ったりぶ。
「これって俺の分だけ？」
「うん。まあ、今ある分はそうだね」
「一人で作ったの？」
「いや、先輩と二人で」
「先輩？」
少しだけ首を傾けながら質問を飛ばしてくる。
その仕草、狙っているんだろうか。
素でやっているのだとしたら、とても恐ろしい。
「三つ上の先輩が一緒に作ろって、誘ってくれて」
「ふーん…俺の知ってる人？」
「多分知らない人かな」
「そっか」
説明しながらも頭の中に、お菓子も作れてアクセサリーも作れる、けれどもたまにドジな面が現れる。そんな先輩を思い浮かべた。
向こうも面識が無さそうだったから、知らない人ということにしてしまったけれど、名前だけなら聞いたことあるかもしれない。
でもまあそこまで言う必要も無いか、とすぐにその思考を捨てた。
ふと時計を見て椅子を戻し、立ちあがったりぶ。
つられて私も時計に視線をやれば、昼休みの終わりを告げるチャイムが鳴る直前だった。
自分の席まで戻る前に、ふとこちらを見たりぶは。
「次はクリスマス？バレンタイン？楽しみにしてる」
「………えっ？」
その言葉の意味は訊けなかった。
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瑠璃?(プロフ) - 更新いつも楽しみにしてます。 とても素敵な作品ばかりで尊敬します……！ 春音さんのお話に出てきた先輩は弟の姉さんでしょうか？ 合ってたらお友達d)) ……これから更新されるお話も楽しみにしてます！ (2016年10月29日 9時) (
レス) id: 72272aaac8 (このIDを非表示/違反報告)
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