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あむ。 ページ20

「ねぇ今日ハロウィンだけど、」


俺が彼女の耳を触りながら言う。柔らかくて冷たい耳が心地いい。
見上げるようにしてこちらを見た彼女の悪戯めいた笑み。

君の瞳は好きとか嫌いとか、そーいうもんを全部関係なしに吸い込んでしまいそうなくらいに青い。


青い瞳、ヘーゼルの瞳。やっぱり君はシェイクスピアの外側の人。



深紅のワンピースに似合わない悪戯っ子みたいな顔で君が笑う。


あの日出逢ったときはまだ君みたいな綺麗な人がいるなんて知らなかった。
君の額に張り付いた細い髪をそっとわける。


前髪で隠れていた額にこつんと自分の額を合わせてた。





俺はそれで充分なのだけど、ねえねえお嬢様、君はそれで満足なの。




口には出さずにただ頬に手を滑らせると、するりと頬を擦りよせる。



それはまるでアリスのようでそしてジュリエットのようで、シンデレラのようでもあった。
ただの白いシーツが君に触れた途端にドレスに変わった。




君は純白のドレスが良く似合うよ。
今着ているワンピースよりも、こんな悪魔みたいなハロウィンの夜を纏うよりもずっと。




ただ綺麗な君が怖くて好きで我儘を叫んで、挙句の果てに身勝手な悪戯で君を泣かせる。
それを全部ハロウィンの夜の所為にして彼女の首筋に唇を埋めた。





彼女は拒まなかった。心臓の音を重ねようとそっと身を摺り寄せて来る。
しんさん。彼女の声に呼ばれた名前は甘美な響きをもって溶ける。好きだよ。


世界で一番身勝手に俺は君が好きだから、その手をとって跪いて見せる。





誰かがトリックオアトリートと言った。

だけどねお菓子なんていらない。君がどれだけ俺に甘いものをくれたとしても、今夜は君に悪戯を捧げるよ。



最低なハロウィンの夜の悪戯。


「…A、お菓子と悪戯、どっちがほしい?」

「しんさんが欲しい」



ああ君は本当にどうしてこうも世界の全部みたいな声で囁くのだろうか。
微笑んで、そして君を慈しむ。多分これが最後。





___「お嬢様の、仰せのままに。」





そっと手首に唇を落とした。眠った夜を起こさないように、君だけが感じるようにそっと。


君の細い手首は触れれば壊れそうで、しんでしまいそう、だった。
夜の君は想像以上に綺麗だ。




もうすぐ12時を回る。ハロウィンの魔法が解ければ俺たちはどうなってしまうかな。
世界が軌道を止める。だけどその前に少しだけ





今日くらいはシェイクスピアの外側で、君とワルツを踊ろうね。

☆→←シェイクスピアの外で最後のワルツを、



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瑠璃?(プロフ) - 更新いつも楽しみにしてます。 とても素敵な作品ばかりで尊敬します……!  春音さんのお話に出てきた先輩は弟の姉さんでしょうか? 合ってたらお友達d)) ……これから更新されるお話も楽しみにしてます! (2016年10月29日 9時) (レス) id: 72272aaac8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:参加者の皆様 | 作者ホームページ:ありません  
作成日時:2016年10月19日 13時

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