柚乃 ページ17
騙された。
「 やっぱりAは優しいな〜♪ 」
「 もう一回蹴ってやろうか…… 」
やりすぎてしまったかと謝れば調子に乗ってこのザマ。矢張り此奴は此奴だった。謝らなければよかった。
「 相変わらず素直じゃない子ですね〜 」
「 黙れ 」
本当にもう一発…もう二発か三発でも蹴ってやろうか。
「 で、結局何だったの？私もう帰っていい？？ 」
「 あっ、まだだめだよ〜！ 」
じゃあ早く本題に入れよ、心からそう思った。ごめんね口悪くて。
「 A、元素記号の歌って知ってる？ 」
「 それ昨日も聞かれた……だから知ってるって。馬鹿にしてる？ 」
私の台詞を聞いて、何かおかしかったのかきょとん、と首を傾げている。その表情には、微かな怯えが見える。何だ何だ、私変なことでも言ったか…？
「 僕、昨日Aに会ってないよ…。 」
は…？―そう言おうとした口は、僅かに震えて空気だけを吐き出した。そんなはずはない、と。
昨日は目の前の此奴―歌詞くん―と色んな場所を歩いて回った。夕方頃になって私が買い物を忘れていたのを思い出してそれに付き合ってもらって……
「 …まさか、おばけの悪戯……とか？ 」
ハロウィンだからかな、なんて言って怪しげに、楽しそうに笑う彼の顔には影が差しているように見えた。水兵服の格好にその顔はとてもと言っていいほどミスマッチだった。だからこそか、ますますその顔は不気味に見えた。
「 あ、そうそう、それでさ、その歌に出てくるリーベって言葉の意味、知ってる？ 」
それも昨日聞いた…とは言わず、期待を込めて恍ける。愛している、という言葉を彼の口から聞くために。
「 あー…何だっけ、忘れちゃった 」
「 愛しています、だよ。もう忘れちゃったの？ 」
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瑠璃?(プロフ) - 更新いつも楽しみにしてます。 とても素敵な作品ばかりで尊敬します……！ 春音さんのお話に出てきた先輩は弟の姉さんでしょうか？ 合ってたらお友達d)) ……これから更新されるお話も楽しみにしてます！ (2016年10月29日 9時) (
レス) id: 72272aaac8 (このIDを非表示/違反報告)
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