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「……なに、」
「え〜、なんか体が勝手に」
「うそつけ、正直に言え」
「したくなっちゃった」

ごめんねえ、行っていいよってそう言いながらも、先に彼女を引き寄せた彼の右腕はまだ彼女の頭に回されているのだ。うそつきだ。きっと私を行かせる気なんてない。目が言っているのだ、目は口ほどにものを言う……そうでしょう?

……きっと振りほどいたなら、彼はひどく悲しい顔をするのだろう。彼女はそれを見るのが嫌いだった。それだからもちろん、自分が彼にそんな顔をさせてしまうだなんてもっての他。



「……頑張ってたね」
「うん? んん……」
「ちゃんとここにいるから、見てるから」

それだけしか、言葉は見つからなかった。おかしいなぁ、もっと沢山あるはずなのに。でもその沢山ある気持ちのどれもうまく言葉にして伝えられない。それが彼女には、いっとう悔しく思えてしまって、情けなさを感じつつもそれを少しでも伝えるべく彼の細く筋肉質な体をかき抱いて力を込める。

好きだよ、あなたを愛してる。伝われ。


おとこのひととおんなのこが一人ずつ。格好はちぐはぐで、変な感じだ。そう思うとなんだか面白くなってしまって、彼女はくすりと笑みをこぼした。




「どれすとさん」
「ん?」
「どれすとさん、どれすとさん」
「ふ、は。なんですかAさん」

「お酒のんだら、今日はもう寝ようか」
「……しんくんがくれたシャンパン空けちゃう?」
「高くておいしいやつだ」


もう一度淡く消えてしまいそうなキスを残して、今度は二人で取りに行こう。高くておいしい、彼の友人が選んで贈ったというそのシャンパンを取りに行こう。頑張れるのはすごいこと。あなたは十分にすごいから、だから今日は頑張らないで休んでしまおうね。

アヴァンギャルドにきみとぼく。あなたとわたし。ちぐはぐな格好で、甘やかしたり甘やかされたり、愛したり愛されたり。滅茶苦茶のぐちゃぐちゃだっていいのだ、大抵、人間なんて皆どこかおかしいものだからって誰かが言っていたし。ね。




いいこだから、今日はおやすみ。



▼あとがき
はじめまして、三枝綯子といいます。すごい人達の中に芋(私)が混じっています申し訳ないです

わたあめさんからプレッシャーもらったときはまるでボディブローくらったような腹痛に襲われました。三枝甘いの苦手なのであんまり甘くないですよねごめんなさい。
明日の柚乃さんはきっと甘いお話をくれるでしょう(プレッシャーリレー)!!お粗末様でした!!

リーベと呪文→←三枝綯子



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瑠璃?(プロフ) - 更新いつも楽しみにしてます。 とても素敵な作品ばかりで尊敬します……!  春音さんのお話に出てきた先輩は弟の姉さんでしょうか? 合ってたらお友達d)) ……これから更新されるお話も楽しみにしてます! (2016年10月29日 9時) (レス) id: 72272aaac8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:参加者の皆様 | 作者ホームページ:ありません  
作成日時:2016年10月19日 13時

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