８ ページ29
「ごめんな？
絶対にちゃんと返す。
何なら今からお金取りに帰るわ」
「いいよ、そんなの」
「じゃあ今度な。
俺がおごるから。
もっとええもん」
分かってる。
また会いたいだけや。
誰か好きになるんて、
何がきっかけになるんか分かれへんもんやな。
５年前には、Aに何も運命なんか感じひんかったのに・・・
送って行ったAの部屋は、
あの頃と何にも変わってなかった。
「じゃあね。
ありがと。
お金は本当にいいからね」
言うて、部屋の中に消えかけてたAの手つかんで。
「上げてくれへんの？」
て。
５年前と全くおんなじシチュエーションやな。
合コン帰りのあの時は、
どっちか言うたら、
Aの方から部屋の中に引き入れられた。
A、しばらく迷ってる。
「・・・あかん？」
もう一回、たたみかけるように聞いたら。
「しょうがないなあ」
呆れたように言うて、
一応、部屋の中に入れてくれた。
５年前は、
あんなに俺にときめいた顔してたくせに。
昔とはほんまに違うわ。
ハチミツもかつてここに来たことが分かるんか、
おとなしいしてる。
狭い部屋やからな。
ハチミツが見てるとこでいちゃつくんは、
ちょっと照れるけど。
一秒でも早く、また俺のもんにしたかった。
「亮ちゃん、相変わらずなんだね。
送り狼になるとこ」
ベッドの中で、
裸のAがくすくす笑う。
もう夕方かな。
すっかり外は薄暗い。
あれからずっと愛し合うてた。
「相変わらずちゃうで？
今は・・・
昔とは違う。
他に誰もおらんし。
Aだけや・・・」
すでに夢中。
「あの頃は他にいたって言ってるようなもんじゃん、もお・・・」
Aが呆れたように言って、笑った。
「ごめん・・・」
「知ってたけど、
そういうのは言わないものなの」
めって、怒られた。
どう言うたら、今のこの本気が伝わるか、
分かれへんねんもん。
めちゃくちゃ大事に抱いたつもりやけど・・・
再会してすぐこんな関係なって、
結局は昔とおんなじや思われてたら意味ないし。
「なあ・・・
俺のこと、本気で考えて。
俺、本気やねん」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 484人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
亜季(プロフ) - すれ違いが切なすぎます。自分の気持ちを伝えなかった主人公ちゃん弱虫ー（泣） (2017年10月23日 22時) (
レス) id: 327514e65b (このIDを非表示/違反報告)
ひみさ(プロフ) - 書き足されたモノ、読ませて頂きました(^^) とっても刺激的で、ドキドキしました(*^^*) (2017年10月23日 0時) (レス) id: 2e580a9b8d (このIDを非表示/違反報告)
くり(プロフ) - 亮ちゃんはちょっと自業自得やけど…(笑)、しげは不憫…そして照史くんも…。それにしても女はこわいなぁ(>_<) (2017年10月3日 18時) (レス) id: 23a9b7a6e0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：fool x他1人 | 作成日時：2017年9月29日 21時
