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自分には「恩人」と呼べる程慕っている人物がいた。
ただの政府に作られたくだらない存在である自分に、音楽の楽しさを教えてくれた「恩人」だった。
当時確実に増えていた反抗勢力に、政府も取締部隊の強化だけでは足りなくなってきたのだろう。
それで出来上がったのが、かつて蒸気文明の栄えた街で盛んに生み出されていた「機械人形」と呼ばれる「作り物」を参考に作った「アンドロイド」というものだった。
人間の様で人間じゃないもの。
作られた当初は自分の存在なんかに疑問も持たずに、ただ上から命令されるまま反抗勢力を潰して。
それでも毎日のように何かを歌う反抗勢力に、上からの扱いが段々厳しくなっていく。
そんな中で、あの日聞いた彼の「歌」に、自分は確かに惹かれて、ないはずの「心情」たるものが芽生えたのだ。
政府側の存在だったにもかかわらず、攻撃してこなかった自分に、その彼も気付いたのだろう。
「凄いだろ、「歌の力」っていうのは」
そう自慢げに言っていた彼に、何が起こったかわからず呆然としていた自分は1つ頷いた。
彼は歌を教えてくれた。音楽を教えてくれた。
政府から抜け出して行く宛もなかった自分を、住処へ招待してくれた。
自分たちの仲間を紹介してくれた。みんなあからさまに「人ではない」自分に、まるで人間の様に接してくれた。
機体名しかなかった自分に「ジェシー」という名前をくれたのは、その中でも1番賢い青年だった。
どこかの国で「富」を願う言葉らしいその名前が、とても嬉しかった。
自分が彼を真似て髪の毛を赤く染めた時も、良く似合っているとみんな褒めてくれた。
だから、数年ぶりに聞こえて来た「恩人」の歌声に思わず反射的にその場所へ向かっていた。
信じたくなかった。この目で見て「やっぱり違った」って言いたかった。
でも、目の前にいたのは確かにあの時の「恩人」だった。
確かに彼の声だったけれども、そこにはらんでいる「想い」が違った。
ジェシー「音楽の楽しさを俺に教えてくれたのは、いわもっちゃんじゃんか！」
きっとその言葉も届いてくれないんだろう。
彼の抱える武器が自分の身体に傷を付け、聞きたくない自分が「人でない」事を示すような音と、今この場にいてほしくないと強く願っていた仲間の驚いたような声が聞こえたのはほとんど同時だった。
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ネイジュ・ピエール(プロフ) - わぁぁぁっ！！フラジールだいすきな�眞話瓦覆里任爐辰舛禊鬚靴�ったです！相変わらず文才に溢れていて素晴らしいなと思いました！ (2020年9月5日 15時) (
レス) id: 6177bf07ac (このIDを非表示/違反報告)
ころころコロン(プロフ) - 初めまして！私は、ボーカロイド曲も好きでこのようなジャンルのお話も好きなので、凄く楽しんで読んでいます！丁度、ダーリンにハマっているタイミングなので、黒さんが歌っていたのが、ダーリンで凄く嬉しかったです！これからも頑張ってください！応援してます！ (2020年9月3日 1時) (レス) id: 34e8c9f8df (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：湊都 | 作成日時：2020年9月1日 0時
