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「安心と選民思想を選び抜いたようになって 雨が降るまでを口を開いて待っている」
人が少ない1区では、他の区よりもどうも一層静けさを増していた。
その中に響く、金色のメッシュを入れた茶髪の青年は、屋根に腰掛けながら少し控えめに歌っている。
「宣誓 今日これまでを価値のある日々とします 再掲 今日これからを意味もなく磨り潰します」
静かな故によく響いたその歌声に、保安部隊が取り締まりに動いた。
「あっ…ごめん、下手だったかな、」
そんな頓珍漢な言葉を述べる彼に、保安部隊は「投降しろ」と呼びかける。
「えっと…ごめんね、俺、歌うの好きだからさぁ…」
困った様に笑いながら、彼はとてとてと屋根の上を歩く。
「潜在ばっかしてると誰も何も言わないの 見透かしてみてよ 暗いなんて言っていないで」
保安部隊の撃った弾丸が彼の頬を掠めた。「いたっ」という声と共に彼が頬を抑える。
「多分もう駄目だろう 生きることを省略して 閉口 唇は何を言いたがっていたんだろう」
それでも歌い続ける彼は、少し悲しそうに保安部隊の方に目を向けた。
「悪気は、ないんだよ」
そして足元に落とされた小さな球が、彼の姿を黄色い煙で覆い隠した。
◇
2区、色んな保安部隊の情報が無線から流れてくる中、金髪を煌めかせ白いふんわりとした衣装を纏う男は、保安部隊の存在を無視するかのように歌い続けている。
「「呪われた命」なんてつぶやく 君が悲しそうにするんだもん ボクも同じさ」
それはまるで地上の事なぞ一切気にしない神の遣いのようで。
「涙で溜まった泥水に映る この空はどこへ行くのだろう」
彼が見えている自分たちが異常者なのではないかという錯覚にまで陥ってしまう。
「綺麗な物なんてありはしなくて 灰被って傘もさせない」
雨すらも演出のようなそんな妙に浮世離れした彼を、誰かが我に返り撃ち落とそうとした。
「もういっそ大きな間違いでも構わない 今 君の笑う顔を閉じ込めるような夜は奪おう」
やっとこちらに目を向けたその男は、恵物を与えるかのような素振りで1つの球を投げた。
「高架橋 雨降らす神様 白日を盗んだら」
ピンクの煙に包まれた2区に、色んな音が混じるように声が重なった。
＊
《参考楽曲》
「フォログラフ」(ぬゆり)
「戯曲とデフォルメ都市」(まふまふ)
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ネイジュ・ピエール(プロフ) - わぁぁぁっ！！フラジールだいすきな�眞話瓦覆里任爐辰舛禊鬚靴�ったです！相変わらず文才に溢れていて素晴らしいなと思いました！ (2020年9月5日 15時) (
レス) id: 6177bf07ac (このIDを非表示/違反報告)
ころころコロン(プロフ) - 初めまして！私は、ボーカロイド曲も好きでこのようなジャンルのお話も好きなので、凄く楽しんで読んでいます！丁度、ダーリンにハマっているタイミングなので、黒さんが歌っていたのが、ダーリンで凄く嬉しかったです！これからも頑張ってください！応援してます！ (2020年9月3日 1時) (レス) id: 34e8c9f8df (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：湊都 | 作成日時：2020年9月1日 0時
