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6区でも、どうやら違反者が出没しているらしい。
「誰かが言った いつか空は灰になって落ちるって 妄想の世の中で 日々を喰らっている」
キャラメルボイスが響くその中に、声の割には意外にガタイのいい茶髪の青年がひらひらとした白い服を着てぴょんぴょん、と路地を楽し気に歩いていた。
「境界線を引いてしまうのも 共感覚のせいにして 街の灯の海で 居場所を探している」
後ろからの気配に軽く振り向き、今まさに捕らえようとしていた連中たちを見て、彼はニヤリと笑う。
「ばーか！そいつは偽物だ！」
シュッと消えてしまったその姿に誰かが思わず悲鳴をあげた。
声の主は部隊の背後から声をあげ、振り向いた刹那に目晦ましのボムを投げた。
「何処へ行くにも この足は退屈に染まって動かない 少しだけ先の景色が見たいだけなのにな」
小さな機械を手に持つ男は楽し気に、それでも異常に早い逃げ足で緑色の煙の中を駆けていく。
まるで追いつこうとするだけ無駄だと言いたげに、弾むように煙の中へ消えて行った。
◇
4区の保安部隊は困惑していた。
目の前の黒い髪をパーマにかけ、白い服を着ている違反者は、保安部隊に抵抗する事無くあっという間に押さえつけられている。
情報が正しければ、この白い服の連中は件のグループのメンバーのはずだ。
なのに、何故？
「…魔法みたいな 夢みたいな ファンタジックな物語が」
押さえつけていた身体から、そんな音色が聞こえてくる。
口を抑えようと手をかけた、その時だった。
「世界に感染 愉快に蔓延 待って、そんなの聞いてないってば！」
低音と共に、1人の隊員が痛みに崩れ落ちた。
するり、と拘束の手を抜けた彼は、そのコンマ数秒の間にボムを保安部隊の1人に投げつけ、黒煙をあげさせる。
先程までただの物静かな男は、何かが乗り移ったかのように歌声を響かせ華麗に舞う。
その黒煙の中で舞う彼は、憑依したかのように保安部隊をいなしながら歌い舞っていた。
＊
《参考楽曲》
「雨とペトラ」(バルーン)
「ダーリン」(MARETU)
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ネイジュ・ピエール(プロフ) - わぁぁぁっ！！フラジールだいすきな�眞話瓦覆里任爐辰舛禊鬚靴�ったです！相変わらず文才に溢れていて素晴らしいなと思いました！ (2020年9月5日 15時) (
レス) id: 6177bf07ac (このIDを非表示/違反報告)
ころころコロン(プロフ) - 初めまして！私は、ボーカロイド曲も好きでこのようなジャンルのお話も好きなので、凄く楽しんで読んでいます！丁度、ダーリンにハマっているタイミングなので、黒さんが歌っていたのが、ダーリンで凄く嬉しかったです！これからも頑張ってください！応援してます！ (2020年9月3日 1時) (レス) id: 34e8c9f8df (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：湊都 | 作成日時：2020年9月1日 0時
