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「気分次第です僕は 敵を選んで戦う少年 叶えたい未来も無くて 夢に描かれるのを待ってた」
そんなアカペラの旋律が聞こえて、人々は思わず声の方──上空を見やる。
赤髪を燻らせた男が、白いひらひらの服を着て統一された家屋の上に立っていた。
「そのくせ未来が怖くて 明日を嫌って 過去に願って もう如何しようも無くなって叫ぶんだ 明日よ 明日よ もう来ないでよって」
サイレンが鳴り響く。違反者を見つけた時に知らせるサイレンだ。
人々は保安部隊に捕まる事を恐れ、彼の綺麗な旋律に耳を貸す事無く再び歩き始める。
「そんな僕を置いて 月は沈み陽は昇る けどその夜は違ったんだ 君は僕の手を」
保安部隊が彼を捉えようと集まってくる。
それを見た彼は、一瞬歌うのを止めて、高らかな声で宣言した。
「Have a GREAT SHOW!!」
◇
「ねえ ガラクタと化したこの世から逃げるのは 容易いはずなのに 未練がましく息をしている 屋上のフェンスを掴む手が凍みる」
所変わって3区、ピンク色の髪に青色のヘッドホン、白いひらひらとした服をアレンジしたような姿の彼は、空き家のベランダに腰掛けながら歌を唄う。
「剥がれかけの夢が饐えていく あまつさえ 痛みで眠れない 雨に濡れた路地裏の隅で 顔の無い猫の死骸を見た」
裸足の足をプラプラとさせ、何かを叫ぶ保安部隊を一瞥すると、チッ、と溜息をついた。
「相変わらずお堅い頭してんねぇ、お前ら」
そう言ってそのベランダからひらりと降り──と同時に、地面に投げつけられたボムが青い煙幕を辺りに飛び散らせる。
「今日もまた 群衆に溶けて 右に倣うだけの愚かな僕 人生という名の檻の中で 罰が下るその日まで怯えている」
遠くで聞こえた彼の音色を追うように、保安部隊は不安定な視界の中を駆けていく。
ジジ、と無線から別の部隊の報告が聞こえて来た。
＊
《参考楽曲》
「アスノヨゾラ哨戒班」(Orangestar)
「トーデス・トリープ」(ユリイ・カノン)
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ネイジュ・ピエール(プロフ) - わぁぁぁっ！！フラジールだいすきな�眞話瓦覆里任爐辰舛禊鬚靴�ったです！相変わらず文才に溢れていて素晴らしいなと思いました！ (2020年9月5日 15時) (
レス) id: 6177bf07ac (このIDを非表示/違反報告)
ころころコロン(プロフ) - 初めまして！私は、ボーカロイド曲も好きでこのようなジャンルのお話も好きなので、凄く楽しんで読んでいます！丁度、ダーリンにハマっているタイミングなので、黒さんが歌っていたのが、ダーリンで凄く嬉しかったです！これからも頑張ってください！応援してます！ (2020年9月3日 1時) (レス) id: 34e8c9f8df (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：湊都 | 作成日時：2020年9月1日 0時
