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第17話 ページ17

昼の女装姿で捜索

あれからAも見当たらないし
二の次にしていた印鑑も無い


諸泉「彼奴、一体何処に……」


そんな中目に入った、棚を漁る臙脂の小袖の女中


諸泉「…あの、何かお探しですか?」


明らかに困っている様子だったので
思わず尋ねる尊奈門


茜「…あらごめんなさい
ねぇ貴方、梅の花の模様の簪を見てない?私の宝物なのよ……」

諸泉「簪、ですか…?」


溜息まじりに説明するこの女中、茜である
もしやと思った尊奈門は
きり丸から預かったあの簪を懐から取り出した


諸泉「…もしや、これではありませんか?」

茜「え、それ……アタシの簪!?
ウソ、まさか拾ってくれていたなんて!!」


これでもかと言わんばかりの嬉しさの悲鳴
茜の背景は光り輝いている


茜「何てお礼を言ったらいいか……本当に有難う!!」

諸泉「い、いえ…」


簪ごと両手を包んで上下にブンブン振り出す茜


茜「この屋敷の女の子達は皆優しくて素敵ね。家主も見習って欲しいくらいだわ
……あら貴方、随分良い体格をしてるのね」


手を取られたまま
まじまじと見つめられて思わずはぐらかす尊奈門


諸泉「…ああ、そうだ、同僚を探しているんです
桜の小袖で、このくらいの背丈の」

茜「…ああ!確か突き当たりの部屋へ向かっていたね
…あとお礼と言っては何だけど、これも渡しておこうかしら」


茜から貰ったのは、まさかの印鑑だった


茜「持ち出し物なんだけど、アンタ達には何やら事情がありそうだしね」

諸泉「…恩に着ます」




見つめられた時には
女装がバレたのかそうでないのか
少し焦った尊奈門はすぐにその場から立ち去った

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作者名:成瀬 | 作成日時:2022年7月25日 16時

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