第14話 ページ14
背後から後頭部を重く殴られ、気絶し倒れた男
男2「な、何だ！？」
男3「奇襲だ、構え──」
瞬間、腹部·みぞおちを突かれて次々と倒れる見張り
きり丸は唐突のあまり思い切り目を瞑っていたが
薄目で確認すると、鞘刀をしまう焦茶の忍装束が見えた
諸泉「大丈夫か？」
きり丸「この声は……所詮尊奈門さん！？」
諸泉「も、ろ、い、ず、みだ…！！」
門番に気付かれぬよう小声で訂正し
毎度頭を抱える尊奈門であった
木格子の扉を開け、縄を解いた
きり丸「尊奈門さん、何で助けに…」
諸泉「役割を分担しているんだ
Aは印鑑を探しに、私は君を助けに……っておい、
私ではなくAがよかったのは分かったから
そんなあからさまに残念そうな顔をするな、仕方無いだろう…！」
げんなりしているきり丸の代弁をする尊奈門
ちょっとショックだったらしい
きり丸「…Aさんに会ったんすか！？お顔、大丈夫そうでした…？」
諸泉「顔？」
きり丸「攫われる直前に、Aさんが俺を庇った拍子に
コイツらに強く殴られて…」
未だに気絶している3人の男を指差すきり丸
今の事実を知り、顔を顰める
きり丸「あ、あの…尊奈門さん、顔怖いです、どしたんすか……？」
諸泉「……いや、何でも無い」
血が上った頭を落ち着かせた
諸泉「一先ず、他の者に見つかる前に此処を出よう
君を安全に忍術学園まで送り届けるのが私の役目だからな」
きり丸「…無理です」
諸泉「……何て？」
きり丸「だって、俺…俺……
売上金忘れて来ちゃったんです"!!!!」
諸泉「は…？」
きり丸「うわあああああああん!!!!!!」
諸泉「お、おい、泣くな…！」
これでもかというくらいの大号泣
何処までも守銭奴なのがきり丸らしい
きり丸「Aさんに会うまで、断固として此処を動きません！」
諸泉「そんな無茶苦茶な……
……でその売上金はAが持っているのか？」
きり丸「持ってくれてます、絶対！多分！間違いない！」
諸泉「どっちだ！」
きり丸「売上金を見捨てろだなんて俺には出来ません!!
うわあああああああ」
諸泉「わかった、わかったから静かにしてくれ…
Aから預かってちゃんと渡すから」
きり丸「……本当すか？」
諸泉「ああ、約束する」
一先ず説得に成功し、一度屋敷の外へ出た2人
取り敢えず深く安堵した尊奈門であった
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作者名：成瀬 | 作成日時：2022年7月25日 16時
