第1話 ページ1
(Aside)
闇を彷徨っていた
何も聞こえず、何も感じなくて
ただ光だけを求めて
気が付くと視界には天が広がっていて
闇の中を緋色の火花と灰だけが
静かに舞っていた
不思議とその光景は穏やかで
滅入っていた気持ちを楽にさせた
腕を伸ばせば
誰かが天に引っ張り上げてくれると思って
でもそれは錯覚で
糸が切れた人形みたいに
私の腕はがくりと落ちて
そのまま苦痛の海に沈むの
「………、あの子どもは……」
「流石に死んでるんじゃないか……?」
─誰かが近付いてくる
でも身体が動かない
胸ぐらを掴まれて
身体を引き寄せられる
「………驚いたな、まだ息があるぞ」
「では連れ戻って、頭領に報告しよう」
そう言って男は私を担ぎ上げ、
瞬時に移動し始めた
そこで意識が途切れた──
─次に目を覚ましたのは、
見知らぬ部屋の中であった
日が射していて、とても眩しかった
「目が覚めたようだね」
低い男の声が聴こえた
隣で横座りをしている、焦げ茶色の忍装束
この忍装束は、タソガレドキ忍者
あの戦で家族を亡くし、一人身だったところを
タソガレドキ忍軍に拾われたらしい
当時7才だったA
一体何のために、
何が目的で拾われたのか
10年経った今でも分からなくて
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作者名:成瀬 | 作成日時:2022年7月25日 16時