天使だった幼なじみがハイスペックイケメンになって私を迎えに来た。 (ページ48)

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○48○ ページ48

君が幼なじみで良かった。

○

「焦凍くん」

「何だ」

「迎えに来てくれてありがとう」

ふわりと微笑んだA。寒さのせいか、照れているのか、その頬には赤みがかかっている。

好きだな、なんて。柄にもないことを思ってしまう。

「焦凍くん、何ニヤついてるの」

「ニヤついてねえ」

「あ、いつもの焦凍くん」

「……なあ、A」

Aの方に体を向き直して目を見て言う。

「高校卒業して、俺がプロヒーローになったら結婚する。嘘じゃねえからな」

「うん、喜んで」

「何笑ってんだ」

「いや、焦凍くんもちょっと子供っぽいとこあるよなーって」

…茶化されてる。くすくす笑うAは可愛らしいけど、からかわれるのは好きじゃない。

ちょっとムカついたので、両手でAの頬を挟んで不細工にしてやった。

「んぶぶ」

「ふっ」

意外と柔らかいんだな。ほっぺ。

タコみたいに口を尖らせて、抵抗のつもりか、俺の肩をペシペシと叩くこいつ。

力入れてんのか？全然痛くない。

「抵抗？」

「ん！」

「A、生意気」

「ふぉお！？」

唇に触れるだけのキスを落として、お姫様抱っこして立ち上がる。

「轟さぁん？！」

「名前で呼べ」

「轟さぁん！！」

「名前で呼べって。落とすぞ」

「苗字で呼んだだけなのになんでそんなキレるの！？」

流石に落とされるのは嫌なのか、叫んだ方が注目を集めると分かったのか、Aは少し大人しくなった。

緑谷みたいにぶつぶつと「重いよ…やるなら１ヶ月前に言ってよ…ダイエットさせてよ…」だのなんだの言っているが無視。

取り敢えず近くにあった銅像の段差に座らせる。

「あでっ」

「悪い」

全くもって色気のない声を出す彼女に、静かに問いかけた。

「…AAは、轟焦凍を一生愛することを誓いますか」

「誓います」

「…………」

「轟焦凍は、AAを一生愛することを誓いますか？」

「誓います」

言い終わって2人で小さく笑い合う。

Aは、焦凍くんって意外とロマンチストなんだね、なんて言って。

そんな彼女を見て改めて思った。

やっぱり好きだ。A以上の幼なじみなんて俺は知らない。