天使だった幼なじみがハイスペックイケメンになって私を迎えに来た。 (ページ35)

今日:333 hit、昨日:421 hit、合計:4,567,296 hit

○35○ ページ35

幻想的に降り注ぐ。

○

「……あはは、そんな事ないよ」

絞り出す様にして出した自分の声は、ひどく情けなく聞こえた。

……焦凍くんを救ったヒーローは、彼だ。

この間焦凍くんから聞いた。あの体育祭の日、話していたこと。

『緑谷はすげえ奴なんだ』

きっと雄英のみんなも同じなんだろう。焦凍くんは時々、嬉しそうな顔をして友達のことを話してくれる。

……じゃあ、私は？

救えなかった彼の前に今更急に現れて、婚約者面？

私は彼に何をしてあげられた？

今、何をしてあげられている？

「……ごめんね緑谷くん、用事思い出しちゃった！
焦凍くんに、伝えておいて！」

「あ、そうなの？じゃあ、また」

「うん、ばいばい」

緑谷くんに背を向けて歩き出す。

脳裏で、走馬灯みたいに過去が次々と浮かび上がる。

浮かび上がっては消える。

『ぼく、オールマイトみたいなヒーローになれるかなぁ！』

『なれるよ！がんばれしょーとくん！！』

『しょ、しょうとくん…？その、おかお、どうしたの…！？』

『……やけど、しちゃった』

『…そう、なんだ』

『しょーとくん！みて！！わたし、個性でたんだよ！』

『…………？』

『うふふ！じゃーん！！！』

『…………！！』

『ゆきだよ、しょうとくん！』

『しょうとくんのこおりにはかなわないけど、わたしも冷やせるの！』

『だからね、しょうとくん＿＿＿＿

・

「……どうやったら、助けてあげられたのかも分かんないや」

空から、私の個性そっくりの白い粉が舞い降りて、私の頬の温度を奪っていった。