天使だった幼なじみがハイスペックイケメンになって私を迎えに来た。 (ページ31)

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密室は意識してしまうのです。

○

「どうぞどうぞ、適当に座って！」

「ああ。ありがとう」

そう言って焦凍くんが素直に腰を掛けた場所は私のベッド(兼椅子)。

え！？そこ！？そこなの！？と内心焦ったが表情には出さない。これ以上振り回される訳にはいかない。

実を言うと、さらっと家に招いてはいるがとてつもなく緊張している。

なんたって彼は成長を経てハイスペックイケメンになった。幼馴染みとはいえ姿かたち変わりすぎてもはや別人なんだよ。むしろ私も髪の毛で判断したくらいなんだよ。

彼と再会して何日か経ったので少しは慣れたけど、やっぱり部屋に上げるともなると緊張する。仕方ない。

密室か。体育倉庫よりはまだましだろうか。おっと、少女漫画の読み過ぎか。失礼しました。

「なんで家に上げてくれたんだ？」

「あ、ケーキ屋さん、人気なとこなの。
お持ち帰りも一苦労だった」

「……何か、悪い」

「ぎゃっ！全然！！焦凍くんが謝ることなんてひとつもないよ！？」

緊張のあまり声も裏返る。そして必死に手を顔の前で振るという無駄な行動。

……しっかりしろ私！！！！

頬をぺちぺちしていると、焦凍くんが首を傾げて聞いた。

「……A、いつまでそこに突っ立ってんだ？」

「ああああ、ごめん！私も座りますね！」

そうだ、いつまでドアの前で悶々としているつもりだ。

早口で謝りながらベッドの上に急いで腰掛けた。

ストン。

ん？私、なんで焦凍くんの隣に座ったの？？

あっいや流れで…間違えた？？なんか間違えた？？この状況で隣座っちゃまずかったかな？？？

だって二人でベッド座るって……どうなんだ？？

ぐるぐると考えていると、焦凍くんが消え入りそうな声で呟いた。

「…っ、いや、そこなのか…」

「あああああ！！ごめんなさい退きます！！！間違えた！！！すみませんでした！！！！」

焦凍くんの顔も私の顔も、とんでもなく赤くて林檎のようです。さんつがる。