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あの時の記憶はそのままに、また新しく作る。
○
「懐かしい。昔はよく二人で公園に来たね」
「そうだな」
「木の棒でオールマイト描いたりしたね」
「A、オールマイト描くの上手かったよな」
小さな公園のブランコに、キィキィと音を立てながら乗る高校生二人組。
何だか公園というものが懐かしくて、つい無意識に入ってしまったのだ。
昔は本当によく遊んだ。だって二人で行けるとこ公園しか無かったもん。
あれから10年も経ったのだと思うと、感慨深いような、寂しいような。
漕ぐたびに冷たい風が頬を掠めるけど、久々に乗るブランコは楽しい。
「砂で山作ってさ」
「ああ」
「その山に穴掘って、捨てられてたペットボトルに水入れてさ」
「うん」
「その穴に水流し込んで『川だー』ってやってたけど、あれただ砂場を泥場にしてるだけだったよね」
「……ふ」
あ、笑った！
確かに笑い声がしたから、そう思ってパッと焦凍くんの方を見たけど、彼は次の瞬間には真顔に戻ってしまっていた。
いやいや、切り替え速すぎ。
焦凍くんの笑顔を見逃してショックな気持ちと、切り替えの速さに驚愕する気持ちで彼の顔を見つめると、私の気持ちが伝わったようだ。
彼は寒そうにマフラーに顔を埋めたと思うと、目を細めて言った。
「……おもしれえかお」
口元はマフラーに隠されて見えなかったけど、間違いなく彼は笑っていた。
・
「ちょ、もっかい。もっかい今の」
「お、押してくれるのか」
「いやブランコじゃなくて！今の顔もっかい！」
「二人乗りするか」
「ブランコじゃなくて！！！」
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作者名：- | 作成日時：2017年12月9日 6時
