○13○ ページ13
少しずつ少しずつ、君を知る。
○
『Aも小さい頃は可愛かったな』
「えー？今は可愛くないって？？」
『今は綺麗になった』
「…… やめてやめて、普通に照れるから」
電話口で写真のことを伝えた。焦凍くんの家にも一枚だけ、私の写真があるらしい。何故。
しかも焦凍くんはそれをわざわざ写真立てに入れているらしい。何故。
「だって焦凍くん、今カメラ向けられたら笑える？」
今の彼が笑顔でピースしているところが想像できない。真顔ピースくらいならあるだろうか。可愛いな。
『表情筋が上手く動かねぇんだ』
「どういうことだってばよ」
クールな表情が売り(なのか？)の彼は、言い換えると無愛想であり無表情。
表情筋が上手く動かないとはどういう了見だ。すぐに顔に出てしまう私には少し羨ましくもあるぞ。
『……俺は表情がころころ変わるAが好き』
「…………今、心の中読んだ？」
『流石にそれは俺もできない』
「知ってますよ」
これから出来るようになる、と自信ありげに言う焦凍くんは何を言っているか分からないけどとても可愛い。きっと電話の向こうでドヤ顔をしているに違いない。
あれ？もしかして私、自分で思ってる以上に焦凍くんにメロメロなのかな。
単純でお恥ずかしい。まだ再会して三日しか経っていないのに。私ってば面食いだったのか。
『次は俺の家に遊びに来てくれ』
「うん。エンデヴァーさんがいない日にぜひ」
『親父にお嫁さんだって紹介してもいいか？』
「絶対にダメ」
即答できっぱりそう言うと、向こうから微かに笑い声が聞こえる。あ、今のはわざとだな。
『おやすみ』と優しい声。
甘くてあったかい声に、魔法がかかったみたいに幸せな気持ちになれた。
「うん。おやすみ。」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 5375人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：- | 作成日時：2017年12月9日 6時
