天使だった幼なじみがハイスペックイケメンになって私を迎えに来た。 (ページ1)

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むかしむかし、私には幼馴染がいた。

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『しょうとくん、おおきくなったらなにになるの？』

『ヒーロー！！』

『ヒーロー！？オールマイト！』

『オールマイト、かっこいいよね！』

ああ、これは夢だ、と、すぐに解った。

何故なら、幼い頃に近所に住んでいた幼なじみが目の前で笑っている。今は離ればなれになってしまった、幼なじみが。

彼の名前は轟焦凍くん。赤と白が丁度半分ずつという、変わった頭の色の、とても顔が綺麗な男の子。

私と彼は仲が良かった。オールマイトが好きで、よくヒーローの話をしたり公園に遊びに行ったりしていた。

彼はヒーローが大好きで、ヒーローになりたいんだ、といつもとびきりの笑顔で私に話してくれた。

でも、そんな日々も長くは続かなかった。

彼の個性が発動した時期、No.2ヒーローである彼の父が、まだ幼い彼に訓練を課していたらしい。

轟家の複雑な家庭環境を、幼い私は知らなかった。いや、知らなかったというより理解出来なかった。彼が何故、左目を覆うような包帯をしていたのかも。

私が引っ越しをする頃には、彼は滅多に笑わなくなっていた。どんどん表情を無くしていく彼を置いて、この街を離れたくなんてなかった。

泣きながら両親に抗議をしたが、幼い私は無力で。

この街を離れるその日、泣きながら彼に言った。

『しょうとくんが、かっこいいヒーローになるの、まってる…ぐずっ』

『…！』

鼻水をずびずびと啜りながら喚く私の頭を、彼はそっと撫でてくれた。彼は何も言わなかった。

ただ、彼の綺麗な瞳には、涙が零れ落ちそうな程溢れていた。

『しょうとくん、またね』

『…………っ』

『またね…っ！！！』

電車が出発して、どんどんスピードを上げていく。

焦凍くんの顔が歪むのが分かった。

……ああ、懐かしい夢だなあ。