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彼には振り回されてしまう。
○
いた。
校門にもたれ掛かるイケメン。
紛れもなく、轟焦凍その人だ。
焦凍くんは雄英生だということを抜きにしてもとてつもなく目立つ。紅白頭だし、イケメンだし、スタイル良いし。
ただ、クールな雰囲気の彼は近寄り難いのか、遠巻きに見ている人が多い。おいそこの女子。頬を染めて見つめるなこの人は私のだ。(ちがう)
何故か焦凍くんを守らねばならない気がして急いで駆け寄る。
彼は私に気づいて近づいてきてくれた。はい可愛い。お前が優勝。
「ど、どうかした？」
「帽子忘れちまったから」
「……ああ！あれか！」
心当たりならあった。一週間前に焦凍くんが被ってた黒いキャップのことだ。
軽く匂い嗅いで大切に保管してありますとも。え？それ以外は何もしてませんが？？？？
「Aんち行ったら、Aのお母さんが迎えに行ってやれって言うから」
「サプライズだね」
「なんでそんなに汗かいてるんだ？」
「気のせいだよ、行こう」
目立つ焦凍くんに駆け寄れば当然目立つ。
背中に受ける視線が痛いよ。焦凍くん、これはただの汗じゃない、冷や汗さ。
人の目が何よりも怖い私は、焦凍くんの手を取っていち早くここから離れようと歩き出す。
焦凍くんがぼそっと「大胆…」とか言ってるけどそんな場合ではない。
おいこら。昨日散々グイグイ来たくせに手を取られたくらいで恥ずかしがるな焦凍。
「デートするか？」
「今日は…課題がやばいからまた今度よろしくね」
「………分かった」
しゅん、と項垂れた彼があまりに愛らしくて目を抑えた。
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作者名：- | 作成日時：2017年12月9日 6時
