九十八帝 グレンSIED ページ3
俺を乗せているこの男は謎だ
初めて会った奴を頼っている俺は
どうかしてしまったのか
仲間を守るためにこうして向かって
楓「仲間を守りたい欲望で鬼に成る
A様が仰ったように馬鹿な奴だ」
俺のことはAから聞いたらしい
あの女でも俺を馬鹿だと言った
確かに馬鹿だ、柊に罵られ這い上がる
ためだけに力を欲していたこの俺が
今度は仲間を守るために力を欲した
とんだ笑い話だと思う
グ「………」
聞きたいことは山ほどあった
だが、肝心の質問にするための
言葉が思うように出ない
口を開くと、人間で何か別の奴が
好き勝手に余計なことを言うだろう
それを俺は恐れている
楓「お前、鬼を抑え込むのに必死で
俺と何か話すことも不可能なのか」
新宮寺は心を読んでいるかのよう
思っていることを簡単に当てる
気味が悪い、そう思ってしまうほど
楓「この状態でお前に斬り掛かって
来られると、何もできずに死ぬな」
ははっ、と巫山戯るように笑った
こいつを殺して血を浴びたい衝動は
確かに俺の中で渦を巻いている
背後から、この至近距離で斬れば
避けられることなく容易く殺せる
仮に避けられたとしてとも
時速300kmを超える速さで走って
いるバイクから転落してしまうはず
何れにせよ、無傷ではいられない
スッ
腕が動く、手には刀が握られて
一振りすればこいつの首は跳ねる
それだけの作業だけで血が飛び散る
《殺せ、殺せ、殺せ》と鬼が言う
抗えない衝動、こいつを殺しても
普段通りでも情は湧かない
ヒュッ
振った、首に刃が擦れる瞬間を
目の前で、この目で見届けた
・
・
はずだったのだが………
楓「欲望が丸出しだ、怖い怖い」
太刀を、指二本だけで止めたのだ
後ろを振り向くこともなく素手で
感情のない笑い声だけが聞こえる
楓「ここで俺を殺して何か得でも？
駆けつけるのが遅れて仲間は死ぬ
仲間を救うために得た力なのにな」
横顔だけ見えた、横顔だけ
赤い瞳、鋭い牙、尖った耳がある
Aと同じく姿を隠蔽できていた
容姿を隠蔽できる小道具でもあるのか
こいつは一体何者なのか…
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美鈴愈(プロフ) - 腐女子さん» ありがとうございます。続編もお楽しみにしてください。話進むの遅いですが…(ノ_＜) (2022年12月11日 18時) (
レス) id: b98c7d23df (このIDを非表示/違反報告)
腐女子 - 凄く面白かったです！もう毎日毎日続きが気になりすぎてヤバイです！これからも更新頑張って下さい (2016年5月14日 18時) (レス) id: c8a2293b27 (このIDを非表示/違反報告)
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