ノスタルジア 3 (ページ8)

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伝えたい、伝わらないページ8

nb「もしもし、涼太？」

スマホを持つ手が震えてる

今の俺すげぇダセェんだろうな‥‥

ふっかがさっさと帰ってくれて助かった

こんなとこ見られてたら後で冷やかしのネタにされかねないからな

dt「翔太！？今どこに居るの？」

nb「あぁ、駅の近く。ふっかとばったり会ってさ、さっきまで喋ってた」

ふっかの言葉に甘えて、俺はまったく方向の違う場所とふっかの名前を出してそう説明した

涼太に嘘つくのは気が引けたけど、なんかもう正直に話すほうが辛くなりそうだったから敢えて俺は嘘をついた

dt「そう、目黒から俺とラウールを探しに出て行ったって聞いたから、でも荷物はあるから戻ってくると思ったんだけど、翔太なかなか戻って来ないから‥‥」

nb「ごめんごめん、もう戻るから。
あー‥‥あのさ、ラウールは‥‥？」

dt「ラウールはさっき目黒と一緒に帰ったよ」

nb「そっか、じゃあ今から戻るわ」

ラウールが帰った事にホッとした

今ラウールの顔を見たらきっと大人気ない事をしてしまいそうだったから

すっかり見慣れてしまったこの店構え

淡く揺れるオレンジ色の玄関灯はアンティーク調のランプを模したオシャレなもので

涼太が好きなデザインだなっていつも見かけると思ってた

味のある木製の扉のドアノブに手を掛けるも、なかなかその扉を開けることが出来ない

ふっかにはあんな事言われたけど、実際本人を目の当たりにしたら何も話せないだろうし、涼太から同じ台詞を2度も聞かされたら本気で心折れてしまいそうだ

自信なんてはなっから無かったけどさ、まだどこかで期待してる自分もいる

それすら完全に無かった事にされるのが怖くて、あと一歩が踏み出せない

(深呼吸して‥‥。よしっ！いくぞっ！！)

意を決してドアノブをギュッと握りしめた次の瞬間だった

想像以上の扉の軽さに『あれっ！？』て疑問が浮かんだ次の瞬間に涼太の顔が一瞬見えたか見えなかったの瀬戸際で

俺の視界はスパークした

dt「翔太ごめんね‥‥」

涼太が柄にもなく情けない顔で俺に謝る

nb「いや、平気だから」

とは言ってみたものの、俺のおデコは赤く腫れて血が滲んじゃってるけどね

こんな事になってしまったのは、今から数分前に遡る