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ab「何から、話したらいい？」
やっと口を開いたと思ったら、自信無さげに聞いてきた阿部
dt「何でも。阿部が聞いて欲しい事をどうぞ」
さっきからそう言ってるのに、阿部は話が重いほど遠慮するんだ
敢えて急かす事はしないで、阿部の言い出しやすいタイミングを待っていると
お冷の入ったグラスを見つめたまま、阿部が深く息を吸った
ab「舘さん、たぶん気づいてると思うけど
俺、佐久間がずっと好きでさ、
‥‥でも佐久間がそれを求めてないのは分かりきってた事だったし、俺も一生言うつもり無かった。
なのに、ちっぽけな欲に負けて気持ちバレちゃったと思う。
そうなったらネガティブな考えしか浮かばなくて、佐久間に引かれたかも、嫌われたかもって考えたら佐久間に会うのが怖くて‥‥」
dt「だから会いたくないってメッセージ送ったの？」
そう聞き返せば、俯き小さく頷いた
dt「なんで‥‥。一方的すぎるだろ。
佐久間は自分が悪いって思ってる。ちゃんと話して誤解を解かないと」
ab「そんなの、怖いよ‥‥。俺の本音言ったら、佐久間は離れてく。嫌われるのが怖くて堪んない
なんで俺、あんな事‥‥」
今にも泣き出しそうな震える声と、苦しそうに歪んだ表情は見てるこちらも辛くなる
ただ好きで、傍に居たいだけだったのにな‥‥
欲張りになる感情のコントロールを俺も教えて欲しいぐらいだ
だけど、俺も似たような経験したから、今なら分かるよ
dt「阿部‥‥。1度会って話してみたら？
受け入れてもらえなくても、ちゃんと想いを伝えておくべきだ。その時は離れてしまっても、ちゃんと戻れるから。
俺、経験者だから‥‥」
そう言うとすぐには理解出来なかった阿部だったけど、持ち前の勘の良さが働いて、少し前のめりに質問してきた
ab「経験者って‥‥？舘さん、もしかして翔太に‥‥」
dt「うん、卒業式の日にね、告白してる。ま、振られて、そのまま10年間音信不通だったけど」
そう返せば目をまん丸く見開いて驚く阿部
ab「なんで！？当時から翔太だって舘さんの事‥‥」
dt「まぁ、まぁ、そこは話せば長くなるから、また改めて話すよ。それより、ちゃんと佐久間と会ってこいよ。」
そう言って阿部の肩にポンと手を置いてやると、幾分かスッキリした顔をした阿部が上目遣いでこちらを見つめてきた
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作者名：shiro | 作成日時：2022年4月29日 18時
