ノスタルジア 3 (ページ44)

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sk「たぶん俺なんだ。悪いの‥‥
俺が阿部ちゃんの気持ちにちっとも気づかなかったから

阿部ちゃんからしたら、友達やめたいって思っちゃうかもしんないけど

俺、やっぱ辛くて‥‥。どう答えてあげるべきだったのかなぁ‥‥」

佐久間は涙を堪えて噛み締めるように話した

俺の腕を掴む手が震えてて、でも俺にはどうする事も出来なくて、その手を優しく包む事しか出来なかった

dt「佐久間は悪くないよ‥‥。誰も悪くない‥‥」

小さな嗚咽が断続的に聞こえてきて、どうにもならない悲しみと虚しさに、なんの意味もない慰めの言葉をかけた

意味はないけど、どうにかなる訳でもないけと

本当に、誰も悪くないんだ。阿部も佐久間も‥‥

あの頃の俺たちだって

sk「涼太、ごめんね、押しかけちゃって
あと店、開けるの遅くさせちゃって‥‥」

一頻り泣いた佐久間は落ち着きを取り戻したけど、まだ表情は暗いままだった

あの後、佐久間は少しだけ話してくれた

話は随分遡って、俺たちが10年ぶりに揃った日の事だ

佐久間はかなり酔っ払って、毎度の事だけど阿部が献身的に世話をしてて、その流れで佐久間を送る事になった

問題はその後だった

佐久間の記憶は殆ど朧気で、どうゆう成り行きなのか分からないらしいのだが

自宅アパートに着いて、眠ってしまった佐久間が次に目を覚ました時、佐久間は阿部にキスされていたらしい

それをきっかけに阿部とは一切の連絡が取れなくなったみたいなんだけど

先日、阿部からメールがきて、たった一言『もう会いたくない』と送られてきたらしい

その後何度も佐久間は返信を繰り返した

でも返事はなかった

sk「んじゃ俺帰るね‥‥。話聞いてくれてありがとう」

dt「またいつでもおいで。いつでも話聞くから」

sk「うん‥‥」

振り返った佐久間の顔はほんの少しだけ和らいでる気がした

どうか間違った方向へ行かないで欲しい

阿部と佐久間は、そんな簡単にバラバラになっていい関係じゃない

俺は、気づいてたよ

阿部は違う感情を抱いてるって

でも、それでも必死で隠し通してた

それ程、守りたかったんだろう

俺と翔太は1度離れてしまったけど

この2人は、ちゃんと話せば伝わるし

簡単には離れないはずなんだ

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