ノスタルジア 3 (ページ21)

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帰らなきゃいけない空気になったけど

なかなか足が動かない

まだ傍に居たい、居ていいものなのか心の中で葛藤してると

kj「めめ、コーヒー飲んでくか？」

まさか康二くんのほうから言ってくれるとは思わなかった

mm「う、うん！飲む！飲みたい！」

食い気味で言ってしまったのは康二くんの気が変わらないうちにって思ったからなんだけど

康二くんからしたら、そんな俺の必死な形相が可笑しかったみたいで

kj「おん、美味い豆あるから淹れたるわ！」

そう言ってちょっと笑ってくれた

(すげぇ、オシャレだ‥‥)

社会人の一人暮らしの基準は分からないけど、初めて入った康二くんの自宅は茶系で家具をまとめてて、置かれたインテリア雑貨はアジアンぽいもので統一されている

優しいお香のような香りがする室内を物珍しく見渡してると、空気が急に動いて、少し冷たい風が入り込んだ

kj「空気入れ替えさせて？」

ベランダへと続く大きな窓を開け、網戸にした瞬間フワッと風が送り込まれて、レースのカーテンが高く舞い上がった

kj「えぇ風やん」

独り言かなって思う程小さく、囁くように言った横顔が綺麗で、息をするのも忘れてしまいそうになる

kj「コーヒー淹れるな」

そんな康二くんの横顔に見惚れていたら、ふいに目が合ってふわりと笑った

mm「あ、うん」

ゆっくりとした足取りでキッチンへと向かう康二くんの背中を見つめた

mm「あっ！！

康二くん！！コーヒーなんかより今すぐ寝て！」

kj「あぁ？」

康二くんちに来れた事、いつもとは違う哀愁漂う雰囲気の康二くんの横顔

今日は俺得な事がありすぎて、本来の目的を忘れてしまってた

俺は慌ててキッチンに立つ康二くんの腕をとった

mm「ベッド行くよ！」

kj「はぇっ！？」

しっかりくっきり隈の出来た目を大きく見開き素っ頓狂な声を上げた康二くんの顔が次第に赤らんできた

mm「えっ！熱っ！？」

俺は思わず康二くんの額に手を当てるけど、言う程熱く無くて『あれぇ？』って期待外れた声を漏らすと

康二くんに荒っぽく俺の手を振り払った

kj「や、やめぃ！熱ちゃうわっ！」

本人はそう言うけど赤い顔はなかなか治まらないし、さっきから落ち着かない様子

挙動不審な動きもまた可愛らしい‥‥

じゃなくてっ！

体調悪い人にあれこれやってもらう訳にはいかないんだって！