ノスタルジア 2 (ページ42)

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dt「おまたせ。食べ終わった頃に試作のデザート持ってくるね」

nb「うわぁ！うっまそー！！」

リクエスト通りの定番オムライスにコンソメスープを添えてカウンターに置くと

まるで子供みたいに目を輝かせた翔太

翔太の無邪気な笑顔が救いだな

(今だけは忘れよう…)

あんなに慌ただしかった店内も、閉店間際のこの時間は気がつけば帰り支度をし始めた2人組の女性客のみになっていて、

聞こえてくるのは店内に流れるBGMだけ

nb「あ、涼太！」

厨房内に戻ろうとする俺に声を掛けてきた翔太

その声に振り返ると、何か言いたげな翔太がいて

でもその翔太の後ろの方で最後のお客様と目が合った

「ご馳走様です。お会計いいですか？」

俺や翔太の母親と同じぐらいの年代の品の良さそうな女性客に声をかけられ、慌ててカウンターを出てレジへと回った

dt「ありがとうございました！」

店の扉を開けて差し上げて、店先の階段下まで今日最後のお客様を見送ると

今日も1日頑張ったなって心の中で自分を労った

dt「ごめん、お待たせ翔太。さっき何か言いかけたよね？」

店内に戻って来ると、1人でオムライスを食べ始めていた翔太

翔太のファーストリアクションを逃した事に密かに残念に思っていたら

nb「いや、もう叶ったから良い」

口の中モゴモゴしながらそんな事を言う翔太だけど、言葉の意味が理解出来なくて首を傾げると

nb「‥‥‥。」

一瞬翔太と目が合って、でもすぐに目線は外されてしまったんだけど

nb「りょ、涼太と‥‥ゆっくり話がしたかったから。
さっきのお客さんで最後だったろ？なら、少しは涼太もゆっくり出来るから、もう大丈夫」

dt「あっ‥‥。ああ、うん。そうだね」

まさか、翔太の口からそんな言葉が聞けるなんて思わなかった

翔太に深い意味は無いとしても、そんな事言われたら柄にもなく飛び跳ねて喜んでしまいそうな気分だ

nb「ここ、座れば？」

翔太は自分の隣の席の椅子をポンと叩いてそう言った

dt「えっ？あ、あぁ、うん‥‥」

(ヤダな‥‥変に意識してしまう)

翔太がさっきから口にする一語一句にいらない期待が膨らんでしまう

その度に思い上がるなって自身を制止するんだけど、さっきから心臓がドキドキしてて落ち着けないんだ