ノスタルジア 2 (ページ26)

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nb「はぁー…」

店の外に出て3段しかない階段をリズムよく下りると、大きなため息が出た

これで良かったのか

それとも涼太の気持ち、聞き出しとくべきだったかな…

とぼとぼと来た道を帰りながら取り留めのない考えを頭の中で巡らしてみた

nb「つっても、ふっかとめめも居たんじゃそんな話すら出来ないか…」

ぐるぐる考えるだけ無駄だと改め

次にまた店に来れる理由が出来たんだから良しとしようと思い直して右手の紙袋の中身をもう一度覗き込んだ

dt「翔太！」

涼太の呼ぶ声に驚いて振り返ると、そこには少し息を切らした涼太の姿があって、その姿にも驚いて

nb「な、何…？」

なんて声を掛けるべきか分からなくて、少し素っ気ない返事になってしまった

dt「あ…。えと…、また、
また試作作ったら食べてくれる？」

ただそれだけの事を伝えにわざわざ息を切らしてやって来たなんて、あまりに涼太らしくなくて思わず吹き出してしまった俺に、本人は至って真面目な表情は崩さず言葉を続けた

dt「今度は、スイーツのレパートリーを増やしたくて
暑くなってきたから、生菓子やジェラートなんか良いなって思ってて…
柑橘系や季節のフルーツを使った水菓子とか涼しげで良さそうだなって、丁度初夏のメニューも考えてるからそのタイミングで出せたらって思うんだ」

普段は口数少なく、いつも聞き役に回ってしまう涼太だけど、好きな事になると饒舌になる所は昔と何も変わらない

それが懐かしくて、嬉しくて

昔から饒舌になった涼太の聞き役はいつも俺だったなって思い出して心が擽ったくなった

nb「うん、行くよ。
俺が1番に涼太の新作食いに行く。」

少しでいい

少しずつで良いから伝わって欲しい

nb「だからさ、今度は涼太の番号で電話してよ」

この意味、涼太は気づいてくれるだろうか

dt「えっ…あっ…」

涼太の目が泳いでる

明らかに動揺しているから、きっと気づいてくれただろう