こちら白雪組３

★ ページ30

少し落ち着いていたラウールだったが、熱が上がってきたのかだんだんとまた苦しそうになってきた。
ハァハァと小刻みに息を吐き続け、ほっぺたは赤くなる。
冷えピタも変え、氷枕も追加してみたがそれでもラウールは辛そうで。

深澤は、ラウールから出る汗を拭きながら変わってやりたいと思っていた。

白「たつやさ、たつやさっ」
紫「大丈夫だよ、ラウ。ここにいるからな」

ギュッと握ってくるラウールの手を、深澤が強く握り返した時だ。外が騒がしいことに気づいた。
もしかしたらと思い、近くにある武器になりそうなものを手に取る。と言っても、飲み物を乗せていたお盆しかないのだが。

騒がしい足音が、だんだんとこちらに近づいてくる。
この部屋に入ってくるかもしれない。自然と深澤のお盆を握る手にも力が入る。
ラウールの部屋が開かれたと思ったら、入ってきたのは岩本で。

黄「ふっか、敵襲。一応知らせとく」
紫「了解」
黄「こっちには来させないようにするけど」
紫「来たらまぁ、何とかするよ」

深澤は手を振りながら、岩本に早く行けと指示する。それを受け取った岩本は、部屋を出ていった。

いろんな場所やり合っているのだろう。まだまだ騒がしさは止むことはない。

紫「みんな大丈夫かな？」
白「んんっ、たつやさ、？」
紫「あ。ラウ、起きちゃった？」

こんなにうるさかったら、ラウールも起きるわけで。少し辛そうではあったが、せっかく眠ったというのに。

白「ど、たの？」
紫「大丈夫。ラウが心配することはないからね。ほら、寝よっか」

またラウールが眠りやすくなるように、お腹をポンポンと叩く。でも、この騒がしさで今ここで何かが怒っているのはラウールにも分かったのだろう。
しきりに、「みんなは？」と聞いてくる。

紫「みんなはちょっと、ね」
白「ほんとに、だいじょぶ？」
紫「大丈夫。みんな強いから」

見ていないので分からないが、大丈夫と信じたい。いや、みんなだったら大丈夫。
深澤はそう信じて、ラウールに笑いかけた。

そしてラウールはまた眠りについた。

★→←★

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す