こちら白雪組３

決意 ページ11

「目が覚めたか。だったらもう帰れ」

昨日手術したばかりだと言うのに、おじさん先生は深澤達に帰れと言った。ラウールはえ？と思ったが、みんなは慣れているのだろう。帰る準備を始めていた。

白「ね、照くん。もう帰って大丈夫なの？」
黄「ほんとはダメなんだろうけどな。でも、家に戻ってた方が色々揃ってるし。薬とかはちゃんと貰って帰るから大丈夫」

不安そうにしているラウールを安心させるように岩本が頭を撫でる。
ラウールが周りを見渡せば、阿部がおじさん先生から色々と受け取っているのが見えた。

確かにこのままここにいたら、ここに迷惑がかかるかもしれない。ラウールも、みんなが常に危険と隣り合わせの仕事をしていることは十分承知していた。
心配だけど、みんなが大丈夫と言うのなら信じよう。ラウールはそう思い、ずっと深澤の隣にいた。

みんなが帰る準備を終えて、岩本が深澤を抱えあげる。お姫様抱っこで抱えると思いきや、肩に担ぐような形で運ばれる深澤。

紫「あの、俺さ怪我人なんだけど」
黄「何ならお姫様抱っこでもしてやろうか？組長」
紫「それだけはやめろ」
黄「だったら大人しくしとけよ」

深澤と岩本がそんな会話をするから、隣を歩いていたラウールは笑ってしまう。ラウールの笑いを見て、みんなはホッとした。

紫「ラウに笑われたじゃねーか」
黄「は？ふっかが文句言うからだろ」
紫「俺は別に言ってねーもん」
青「もうどっちでもいいからさっさと行けよ！！」

なかなか進まない2人にキレた渡辺が、急かすように岩本の背中を押す。深澤は唇を尖らせて、振り下ろされないように岩本にしがみつく。
岩本も深澤を抱え直し、ゆっくりと歩き始めた。

白「辰哉さん」
紫「ん？」
白「辰哉さんが元気になるまで一緒に寝ていい？」
紫「いいに決まってるだろ」
黄「一応俺も一緒の部屋で寝るからな」
紫「………それは聞いてない」
黄「今言った」
紫「せっかくラウと久しぶりの2人っきりだったのに！」

深澤のそんな叫びが響き渡った。

★→←★

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す