夏が始まる香りがした【京谷賢太郎】

45 ページ46

清side



陽祐に頼まれて来てくれたAちゃんの

成長した姿を見て感慨深くなった




高校生一匹狼の京谷と仲が良いらしい

Aちゃんが来てから

いつもより調子が良いしずっとソワソワしている




普段の様子を見ればわかるが

あれはほの字だ、青春だな




休憩中、便所から戻ると

Aちゃんと大学生の子の話し声がした




｢全然まだじゃん

つか、わかりやす過ぎ｣




『分かってんならほっといて下さいよ⋯』




何の話だ、とスクイズを片手に盗み聞きした




｢まぁキミはさっ一匹狼くんと仲良く？

やってるみたいだけど

ガキの癖に生意気で正直俺は気に食わないんだわ

さっさと部に戻してくんねぇ？｣




こいつも大概だな、と回収しに行こうとしたが

Aちゃんの言葉によって足を止められた




『そういうのって同じチームの人とかと

正面からぶつかって解決するんだと思います

私の言葉でどうにかなるなら

とっくに部に戻ってるはずです

私が首突っ込む事じゃないのは分かってますが

もう少し付き合ってあげてくださいよ』




｢は？何で俺がガキの面倒見なきゃなんねぇんだよ

男が男なら女も生意気だな、脳筋か？｣




文脈があれだが

大学生の子が呆れているのが分かる




さすが陽祐の娘だな、本当に生意気だ

でも




『生意気でごめんなさい

もうお兄さんにはバレてるから

言っちゃいますけど、半端な事して

終わるような男なら好きになりませんよ』




そういう所は母親似だべ

面白い家族だな、陽祐

46→←44

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す