夏が始まる香りがした【京谷賢太郎】

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『京谷くん、お昼行こ』




昼休み、天気が良いから

久しぶりに中庭で食べようと夏宮に叩き起された




京｢クッソ｣




『ちょっと起きて、もしかしてその見た目で

本気で私に勝てると思ってたの？心外なんですが』




京｢お前は失礼って言葉知ってっか｣




『でも京谷くんって意外と勉強出来るんだね

1桁の点数しか取れないとか思ってた』




京｢あぁ？｣




『だってそう見えるじゃん』




にししと笑う夏宮に腹立つはずなのに

その笑顔に好きだと再確認させられる




『あ、今日は購買だわ

ごめん、先行ってて！すぐ追いつく！』




そう言って走って行った夏宮の後ろ姿を見送り

俺はトイレに行ってから中庭へ向かった




飽きもせず頭の中は夏宮の事ばかりだ




腹が立って仕方ない会話でも

夏宮が相手だと不思議と楽しい会話になる

変な気持ちだ




？｢Aちゃん！｣




もう少しで中庭に着くってところで

夏宮が誰かに呼ばれた声が聞こえて反射で隠れた




『渡くん！去年ぶりじゃん』




男かよ⋯




相手は確かバレー部のリベロのやつだ




夏宮の所へ向かおうとしたが

そいつの発した言葉に足を止められた




渡｢最近京谷と仲良いって聞いたんだけど

その、大丈夫なのかなって｣

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