夏が始まる香りがした【京谷賢太郎】

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放課後 帰ろうとしたら

京谷くんに夏宮、と声をかけられた




京｢帰んべ｣




『おう、え？一緒に？』




京｢送るっつってんだよ、嫌ならいい｣




え、拗ねてる？可愛い




ってそうじゃないじゃん

送るなんて今初めて聞いたし

なんで当たり前だろみたいな顔してんだ




『いやじゃないけど

急に言われるとびっくりすんじゃん』




京｢細けぇこたぁいいんだよ｣




『ついこの間まで敬語だったくせに

なんかキャラ変わりすぎじゃない？

いや、こっちが本来の京谷くんか』




京｢うっせ、それはお前もだろ

こんなバカだと思ってなかった｣




『⋯京谷くんにだけ言われたくないわ！

絶対私の方が頭いいもん』




煽るように言ったが意味は無いらしい




京｢アホ宮に負ける気はしねぇよ｣




鼻で笑いながら言った京谷くんは

悔しいがかっこいい




隣を歩くと身長差も体格差も

目立って余計にドキドキする




『いま身長どのくらい？』




京｢⋯178｣




『え、ほぼ180じゃん身長わけて』




京｢無理だろ｣




京谷くんは鼻で笑いながら

やっぱバカだな、と言った




京｢お前は｣




158cmと答えると

ちっちぇな、と痛くないくらいの力加減で

頭を鷲掴みにされぐわんぐわん揺らされた




『そこは撫で回す所なんですが？』




京｢握り潰さなかっただけ感謝しろ｣




なんて理不尽




敬語で静かだった京谷くんを返して下さい

と言いたい所だが

壁が無くなった今の方がずっといい

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