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〜時透視点〜
泣いてるの僕?
平助 「…お前はどうしたい。」
時透 「Aを助けたい。…守りたい。」
平助 「そのためにすることは?」
時透 「……。」
平助 「道に迷ったなら、ちゃんと立ち止まってから考えろ。」
僕の胸に響いた気がした。
平助 「むやみに進んだって、余計に迷うだけだ。
焦るんじゃない。
お前にもAにも、まだ時間があるんだから。」
僕だってAだって、いつ死ぬかわからないのに。
明日には会えない運命なのかもしれないのに。
平助は…どうしてそこまで冷静でいられるの?
平助 「答えは必ずある。
一つかもしれないし、
お前が選ばなければならないほど多くあるかもしれない。
それでも、必ずある。
いずれ分かるから。」
時透 「駄目なんだよ。…こればかりは『いずれ』じゃ駄目なんだよ。
急がないと、手遅れになる前に…。」
平助 「…一ついいこと教えてやる。」
時透 「…何?」
平助 「…Aは、
約束を絶対に守る。」
そう言うと平助は消えてしまった。
なんでいつもいつも遠回しに言うの平助は…。
するとAが目を覚ました。
A「…時透君?」
時透 「…A。」
僕は思わずAに抱きついた。
一瞬驚いたAも、気づいたら僕の背中に手を回していた。
この手が離れなければいいのに。
君が離さなければ、
僕はずっとこのままでいてあげるのに。
A「…私…。」
時透 「とりあえずこれ食べて。お腹すいたでしょ?」
胡蝶さんがおいていったご飯をAの前に置くと、
Aは栗鼠みたいに食べ始めた。
可愛いなぁ。
時透 「いつから食べてないの?」
A「食べたけど、漬物をつまんだだけ。」
このくらい、と手で表すA。
…可愛いけど……少なくない?
時透 「…いつから?」
A「…だいぶ前。時透君と逢引行って三日くらいたってから。」
それって先月のことだよね?
そんな前から漬物しか食べてないなんて。
A「忙しくてね。
あらゆるところから鬼の情報が入ってきて、
みんな任務のあとにこの店に来てくれて。
嬉しかったから私は別にいいんだけど。
ごめんね。心配かけちゃったよね。」
そういう問題じゃない。
僕のことなんていいから。自分のことだけ考えててよ。
どうして君はそんなに優しいの。
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