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〜時透視点〜


?? 「俺は平助。Aの兄貴だ。」


どうりで似てるわけだ。


平助 「お前は確か…時透だっけ?」

時透 「うん。…平助…は、幽霊か何かなの?」


一番気になってることを聞いた。
すると平助はニヤリと笑った。



平助 「そう。俺はもう死んでる。」


……僕って霊能力者なの?


平助 「ちなみに、他の奴らは俺のこと見えてない。
俺が、お前だけに姿が見えるようにしてんだ。」


時透 「……良かった。」

平助 「良かった?」


霊能力者だったら、毎日が恐怖でしかない。
でも、なんで僕にだけ?


時透 「何か理由があるわけ?」

平助 「ああ。あるよ。
まぁ、それはともかく。まずは俺のことを軽く説明しとくよ。」




俺はAよりも一つ年上の兄。
産まれてすぐに死んじまって、Aは俺のことを知らない。
平助っていう名前は、死んだあとに母さんがつけてくれた名前なんだ。
新選組の、藤堂平助にちなんでつけられた名だ。
昔京都に住んでたじいちゃんの、命の恩人らしい。





平助 「こんなとこだな。」

時透 「……産まれてすぐに死んだのに、なんでそんな姿なの?」

平助 「死んでからも、ずっとこっちにいたからな。俺の意思で。」


お供えものとか食べてたんだって。
 

時透 「じゃあ、今までずっと、Aの隣りにいたの?」

平助 「そうだな。
あいつがこっちに来るって親に言ったとき、俺もついて行くって決めたんだ。こっちは故郷と違って鬼が多いみたいだしな。
でも、俺幽霊だから、Aになんかあっても守ってやることはできねぇんだけど。」

時透 「まぁ、その体じゃあね。」

平助 「あー。なんで死んじまったんだろ俺。」


悔しそうに言う平助。本当に妹思いなんだ。


妹に知られていない存在であっても、
彼女を守りたいって思える彼は優しい人だと思う。
それに、そんなふうに大事にされてるAも羨ましい。


僕にも…そういう存在がいたような気が…。


駄目だ。思い出せない。



平助 「で、お前だけに俺が見えるようにした理由な。」

時透 「…うん。」

平助 「約束してほしいことがある。」


約束事?僕、なにかしたかな?
平助の、真っ直ぐこちらを見つめる綺麗な目に思わず見とれた。




平助 「Aのそばにいてやってほしい。」









時透 「…は?」

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作者名:照山紅葉 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2021年9月29日 23時

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